今日は放射線障害について
放射線は
電離放射線(X線、γ線、α線、β線、電子線、陽子線、重粒子線、中性子線)と
非電離放射線(紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、レーザー光、磁場)
とに分けられる
電離放射線は
電磁波(X線、γ線)
荷電を持つ粒子線(α線、β線、電子線、陽子線、重粒子線)
荷電を持たない粒子線(中性子線)
に分けられる
一般的には、電離放射線による障害を放射線障害という
放射線はウラン、ラドン、プルトニウムなどの放射性物質から放射される
医療においてもレントゲンとCTは放射線を利用して人体を撮影する
放射線放射は外部から放射された電磁波が人体を直接貫通することで
被曝後すぐに病気を発症する
さらにDNAが損傷して癌になったり子供の先天異常などの慢性疾患を引き起こす
放射能汚染は多くの場合、粉末状や放射性物質に触れることで起きる
皮膚に付着した放射性物質が他の人や物に付着して汚染が広がっていく
放射性物質は肺、消化管、皮膚の傷口などから体内に吸収され
骨髄など身体のさまざまな部分に運ばれて放射線を出し続ける
人体は常に自然界から低レベルの放射線を受けている
これをバックグラウンド放射線という
大気圏外から地上まで到達する放射線を宇宙線といい
そのほとんどは大気のによってブロックされている
だから高地に住む人ほど多くの宇宙線を浴びている
ラドンなどの放射性元素は岩石や鉱物の中に存在し
最終的には食品や建築資材など様々な物質に含まれることになる
地下室は地面い接しているためラドンに晒されるリスクが高い
核兵器の実験による環境放射線や医療における検査や治療のために受ける放射線など
人工的な要因によっても放射線を受けている
1人あたりの被曝量は自然の放射線と人工的発生源によるものの合計で
年間平均3~4mSv(ミリシーベルト)
放射性物質やX線を扱う職業の人は被曝するリスクが高い
癌の放射線療法を受ける人は非常に高レベルの放射線を受けている
アメリカでのデータによると
1年間に浴びる放射線の量は単位mSvで
自然界に存在する放射線源
ラドンガス 2.00
その他の地上の放射線源 0.28
大気圏外からの放射線 0.27
自然界に存在する放射性元素 0.39
小計 2.94
人工的放射線源
診断的X線検査(平均) 0.39
核医学検査 0.14
消費財によるもの 0.10
兵器テストによる放射能 0.01未満
原子力産業 0.01未満
小計 0.63
年間被曝量 計 3.6
その他の放射線源
航空機による旅行 0.005(1時間あたり)
歯科X線検査 0.09
胸部X線検査 0.10
バリウム注腸検査 8.75
地下核爆発による被曝について
核爆発や原子力事故で生じた爆発で生じた放射性降下物をフォールアウトといい
地下核実験では核爆発が完全に地中で収束した場合には、フォールアウトは殆ど発生しない
しかし、爆発によって地面に穴が空いてしまった場合には
そこから大量のフォールアウトが発生してしまう
地下核実験では、その核出力と爆弾の構造に応じた地震波が発生するが
多くの場合で地殻の陥没によるクレーターも生成される
放射線障害について
放射線障害は遺伝子の損傷によるもの
遺伝子が損傷されると正しい情報がコピーできなくなり
細胞が壊死したり数が減ったり、異常な細胞ができて癌になったりする
放射線による障害は被曝した量と時間などいくつかの要因で決まる
一度に大量の放射線を全身に浴びた場合は死に至ることがある
同じ線量を小分けにして数週間あるいは数ヶ月に渡って浴びた場合の影響はかなり少ない
線量が同じなら急速に被曝した方が遺伝子の損傷が発生しやすいため
放射線による障害は身体のどれだけの部分が被曝したかで変わる
たとえば、6Gyを超える放射線を全身に照射されると多くは死に至るけど
放射線療法で身体の極一部に集中照射される場合は3~4倍の線量でも重大な影響はない
放射線障害には次のようなカテゴリーがある
①急性障害
疲労感、吐き気、頭痛などの全身症状
皮膚の一時的紅斑・一時的脱毛・水疱・潰瘍
白血球・血小板・赤血球などの出血や貧血など
②慢性障害
骨髄障害による再生不良性貧血
脱毛、皮膚の色素沈着、無精子症、無月経症など
③晩発性障害
白血病・皮膚癌などの悪性腫瘍、白内障、老化の進行、寿命の短縮など
④後世代障害
胎児奇形など
放射線被曝の単位
グレイ(Gy):放射線が照射された物質に吸収される量(mGy:ミリグレイ)
シーベルト(Sv):生体影響の大きさを示す実効線量(mSv:ミリシーボルト)
レム(rem):等価線量(生物体への放射線被曝の影響)の古い単位
ラド(rad):CGS単位系(㎝・グラム・秒)における吸収線量(吸収した放射線の総量)の単位
早期障害
被曝後数週間以内に現われる障害を早期障害という
急性放射線症
短時間で高線量の放射線を全身または広範囲に浴びた人にみられ
原因となる放射線はX線、γ線、中性子線
被曝線量に応じていろいろな障害が現われる
急性被曝によって障害を受けやすいのは、造血系、生殖系、腸管系、皮膚の組織や細胞である
1)造血系では25レム程度の被曝でリンパ球が減少し、100レムで血小板が減少する
2)生殖系では30レムで男性に、300レムで女性に一時的な不妊がみられ、男性600レム、女性800レムで永久不妊が生ずる
3)腸管系は600レム以上になると障害され、組織が破壊されて消化吸収が不能となり、細菌の感染を受けやすくなる
4)皮膚では300レムで脱毛、500レムで紅斑(こうはん)、800レムで水疱(すいほう)形成、1000レムで潰瘍(かいよう)が形成される
症状と経過は被曝線量と被曝範囲によって左右されるが、おおよそ次のように分けられる
〔1〕前駆期(被曝後0~4日)
この間に現れる症状は、食欲不振、悪心(おしん)、嘔吐(おうと)、発汗、倦怠(けんたい)感、脱力感など
これらの症状が被曝後12~24時間で消えれば被曝線量は少ない
またこの時期に下痢、虚脱、昏睡(こんすい)、運動麻痺(まひ)などが認められるときは大量被曝と考えてよい
〔2〕潜伏期(被曝後2~3週)
大量被曝者はこの時期にも発熱、不眠、頭痛が現れるが、線量の少ないものは自覚症状が少ない
ただし、血液にはリンパ球・血小板・白血球の減少、貧血などがみられる
〔3〕発症期(被曝後2~6週)
200~400ラド程度の被曝者は
この時期に貧血、白血球減少などの造血障害のほか、脱毛が頭部のみならず全身におこる
また悪寒、発熱、頭痛、咽頭(いんとう)痛が現れ、口内炎、咽頭炎、歯肉出血もみられる
400~600ラドでは
さらに脱力感、昏睡状態、乏尿、下痢、腸よりの大出血、強い腹痛、けいれんなどがおこり
被曝後25~40日の間に死亡することが多い
600~1400ラドの被曝線量では
腸管障害の症状が激しく、被曝後15~30日で死亡する場合が多い
1万ラド前後の大量被曝では、失神、循環系のショック症状、けいれんなどの激しい症状で被曝後数時間から数日のうちに死亡する
発症期には6~7Gy以下の被曝で放射線感受性の高い骨髄の障害が現われる
骨髄が障害されると白血球減少や血小板減少、貧血がみられる
皮膚では紅斑や脱毛(5Gy以上)、潰瘍(25Gy以上)、壊死(えし)(500Gy以上)が発生する
10Gy以上の被曝では、骨髄障害に加えて消化管の障害が起こり、腹痛や嘔吐、下痢などがみらる
数十Gy以上の被曝では、骨髄・消化管の障害に加えて、中枢神経系の障害が発生し短時間で死亡する
中枢神経系の障害により、感情鈍麻、興奮、運動失調、けいれん、意識障害などが現れる
初期症状からその後の症候群まで短期間で進行する
線量が同程度であれば症状や時間的経過には個人差はあまりみられない
したがって被曝の程度は発症のタイミングと症状から予測できる
造血器症候群
主に血球の生成(造血)にかかわる骨髄や脾臓、リンパ節が放射線の影響を受けて起こる
2Gy以上の放射線を浴びると2~12時間後に食欲不振、無気力、吐き気、嘔吐が現われる
被曝後24~36時間内にはこうした症状がいったん消失し
その後1週間程度は体の調子が良くなる
この間にも骨髄、脾臓、リンパ節にある造血細胞は消耗していき
新たにつくられることなく重度の白血球の欠乏が起きる
血小板の不足によって出血が止まらなくなる
赤血球の不足(貧血)は疲労、脱力、血色不良を引き起こし、体を動かすと息苦しくなる
4~5週間後、患者がこの間に死に至らなかった場合には
血球の生成が再開されるが、数ヶ月間は脱力感と疲労感が残る
胃腸症候群
放射線が消化管の内層の細胞に影響して起こる
4Gy以上の放射線を浴びてから2~12時間後に重度の吐き気、嘔吐、下痢がみられ
結果として重度の脱水症状が起こる
しかし2日後にはこれらの症状はいったん消失し
その後4~5日間は体の調子も良くなる
しかしこの間に通常は人体の保護壁として働いている消化管内層の細胞が
死んで剥がれ落ちていく
この期間を過ぎると、血の混じった重度の下痢を生じて再び脱水症状を起こす
消化管から体内に細菌が侵入し、思い感染症も起こす
胃腸症候群の患者は造血器症候群も併発することが多く
出血と感染症により死に至るリスクが高くなる
眼障害
眼の組織のなかで最も放射線感受性が高いのは水晶体
被曝により水晶体は混濁し、進行すると白内障になる
5Gyの1回被曝あるいは8Gy以上の分割被曝で白内障が発生する
生殖機能障害
男性では精原細胞、女性では卵母細胞が最も放射線感受性の高い細胞
一時的に不妊の起こる吸収線量は男性で0・15Gy、女性で0・65~1・5GY
永久的に不妊の起こる吸収線量は男性で3・5~6・0Gy、女性で2・5~6・0Gy
脳血管(大脳)症候群
放射線の総量が20~30Gyを超えたときに生じる
患者は錯乱、吐き気、嘔吐、血の混じった下痢、ショックを急速に起こす
数時間で血圧が低下し、けいれんが起こり、昏睡状態に陥る
脳血管症候群はほとんどが死に至る
慢性放射線障害
放射線による慢性的な影響は分裂増殖する細胞の遺伝子への損傷により生じる
小線量の放射線の反復被曝によって生ずる障害と
短期、長期を問わず被曝後ある潜伏期を経て現れてくる障害とが含まれる
もっとも代表的なものは白血病
広島および長崎の原爆被曝者の白血病発生率は
爆心より2キロメートル以内では日本人の平均白血病発生率より約10倍も高くなっている
肺癌(がん)、甲状腺(せん)癌、胆管癌、皮膚癌などの悪性腫瘍(しゅよう)や白内障がおこることも知られており
不妊や流産・死産、小頭児、精神的発育不全などの胎児への影響もみられる
遺伝的障害については
ショウジョウバエの実験で放射線が突然変異を誘発することは明らかにされているが
人間ではなお解明すべき問題が多い
後世代的障害
胎児障害(奇形など)や遺伝的障害(染色体異常など)などを後世代的障害という
胎内被曝
胚や胎児が数百mGy被曝すると胚死、奇形などを生じるが
それらの影響は発生時期に大きく依存している
ヒトで明確なデータが得られているのは
原爆被爆生存者にみられる重度精神遅滞であり
とくに妊娠8~15週齢が最も感受性の高い時期であり
16~25週齢がそれに次ぐことが知られている
Svあたり約30ポイントのIQ低下が予想されている
胎内被曝による出生後の発癌リスクについては可能性が示唆されているが
明確な結論を得るには至っていない
診断について
放射線の被曝はほとんどの場合
問診で聞き取った病歴や生活歴から明らかに診断がつく
診断を確定するための特定の検査はないが
感染症や血球数の減少、臓器の機能不全を調べるための検査が行われる
被曝の重症度をみるためには血液中のリンパ球の数を測定する
被曝48時間後のリンパ球数が少ないほど重症
放射能汚染は放射線照射と違い
放射線を検出するガイガーカウンターという装置を使う
鼻、のど、その他の傷口から採取した塗沫標本の放射能を測定する
治療と経過の見通し
治療の結果は
放射線量、線量率(どれだけ短時間で被曝したか)、被曝の部位の分布、その人自身の健康状態によって違ってくる
6Gyを超える放射線を一度に受けると死に至る
多くの場合、照射された線量を医師が知ることはできないので、症状に基づいて推定する
脳血管症候群はの場合は、数時間から数日の間に死亡する
胃腸症候群の場合は、3~10日のうちに死に至るが、数週間生存し続けることもある
造血器症候群は適切な治療を受ければ多くの患者が生存するが、放射線の総量によって違ってくる
助からない患者の多くは8~50日の間に死亡している
放射線照射の患者に対する緊急治療はないが
患者の経過を詳細に観察し、様々な症候群の進行を調べ
症状がみられた場合には症状に応じた治療を行う
放射能汚染では、速やかに身体から放射性物質を除去する
皮膚が汚染されている場合、すぐに大量の石けんと水で洗うか
可能であれば専用の溶液を用いて落とす
小さな刺し傷がある場合は、痛くてもこすりながらよく洗浄して
放射性物質の小さな粒子まですべて取り除く
汚染した毛髪などはハサミで切る
カミソリなどで毛を剃ってはいけない
皮膚を傷つけるとそこから汚染物質が侵入するおそれがあるため
ガイガーカウンターで放射性物質がなくなったことを確認できるまで洗浄を続ける
放射性物質を飲み込んだばかりなら嘔吐させる
放射性物質の中には飲み込んだ物質が身体に吸収されるのを防ぐ解毒剤があるものもある
こうした解毒剤の多くは原子炉の事故や核爆発など
大量の放射能汚染にさらされた人にのみ投与される
ヨウ化カリウムは甲状腺の放射性ヨード吸収を予防し、甲状腺癌のリスクを減らす
DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)、EDTA(エリレンジアミン4酢酸)、ペニシラミンなどの薬を静脈から投与すると
吸収された後でも放射性元素の一部を除去できる
放射能汚染が疑われない場合には
吐き気や嘔吐は制吐剤によって緩和される
制吐剤は放射線治療を受ける患者に定期的に投与される
脱水症状は静脈からの輸液で治療する
胃腸症候群や造血器症候群の患者は
感染性の微生物に接触しないよう隔離する
輸血や、血球の生成を促進する増殖因子(エリスロポエチンやコロニー刺激因子)の注射により出血を減らし血球数を増加させる
骨髄に重度の障害を受けている場合には増殖因子は効果がなく
骨髄移植が行われる場合もあるが、その成功率は高くない
胃腸症候群の患者は制吐剤、鎮痛剤の投与、静脈からの輸液が必要
淡泊な食事なら食べられる患者もいる
ネオマイシン(別名フラジオマイシン)などの抗生物質の経口投与により
腸管から体内に侵入しようとする細菌を死滅させる
必要ならば、抗生物質だけでなく、抗真菌薬や抗ウィルス薬も静脈から投与される
脳血管症候群の治療は痛みや不安、呼吸困難を緩和して楽にすることが中心になる
けいれん発作を防ぐための薬も投与される
遅延性の障害や放射線療法による副作用には症状緩和のための治療が行われる
ただれや潰瘍は外科手術による切除や修復を行い、高圧酸素療法で治療する
放射線による白血病は化学療法で治療する
血球は輸血を行って補充する
不妊に対する治療法はないが
卵巣や精巣の機能の異常による性ホルモンの減少は
ホルモン補充療法によって治療する
現在ではサイトカイン、増殖因子、その他の様々な治療法を用いて
放射線による正常な組織の損傷を予防したり、軽減する方法が研究されている
アミフォスチンは頭頸部の癌のために放射線治療を受けた患者の口の乾燥(口腔乾燥症)を緩和することが示唆されている
飛来したフォールアウトを吸い込んだり
海水に混じって魚を食べてしまったり
微量でも蓄積することはないのか・・・
言い出すといろいろ心配になってキリがなくなるけど
今のところ
モニタリングポイントの観測値に以上はなかった
と、文科省が発表している
少量の被ばくなら、味噌汁がいいのだ
マウスを使った実験で
みそにはヨウ素やセシウムなどの放射性物質の除去作用があることが
広島大学原爆放射能医学研究所の研究などで明らかになっている
昆布もいいぞよ
昆布にはヨウ素が100gあたり100~300mg含まれている
放射性物質の1つであるヨウ素が甲状腺に蓄積される性質を利用して
無害のヨウ素を摂取して飽和状態をつくり
被ばくによって蓄積される新たなヨウ素が体外へ排出されるよう促進する
味噌汁と昆布
昔から
日本人の食卓に欠かせない食品だ
ムダに恐れることはない
核兵器は
使用を企てる者をこそ吹き飛ばす