先日、文藝春秋の半藤一利さんの記事を読んだ
タイトルは
明治維新は非情の改革だった
幕末の当時、一般の人々は圧倒的多数が攘夷を唱えていた
攘夷とは
夷狄(いてき)を討ち攘う(はらう)
ということ
夷狄=野蛮人
西郷隆盛は尊皇攘夷という言葉を
倒幕のための口実に使っていただけだという
「攘夷はせず、大いに世界各国と交わる」というのなら、政策的には幕府とほとんど変わりありません。倒幕も戊辰戦争も必要なく、徳川幕府を含む雄藩連合が政治を司る公武合体でも構わなかったはずなんです。
それじゃあ、明治維新というのは単なる薩長による政権強奪じゃないか、と言われるかもしれません。まさにその通りといっていいのではないかと思います。
政権を奪取した薩長は「勝ち組」「負け組」をはっきりさせよといわんばかりに
諸藩に必要のない戦争をしかけていく
それにしても、明治革命は誰も予想しなかったほど徹底的な改革でした。気がつくと殿様も、武士という階級もなくなってしまった。
どうしてこんなことが可能だったのか。私は明治維新とは二重の革命だったと考えます。ひとつは薩長の倒幕による権力奪取。そしてもうひとつは、下級武士対殿様、上級武士の身分闘争です。下級武士たちは殿様をかついで倒幕に利用しながら、それが実現するとあっさり切り捨てた。版籍奉還と廃藩置県によって殿様たちの既得権益を見事に奪い取ったのです。幕末とは幕閣のみならず各藩の体制もがんじがらめで、どうにもならぬほど閉塞的だったんでしょうね。
明治元年
維新政府を打ち立てた功労者たちの年齢はというと
みんな30代40代、非常に若い
特に伊藤博文は28歳
その実像はヤクザの鉄砲玉みたいな無茶をやるテロリストだった
後に負け組とされた藩の出身者は露骨に疎外されて官僚にはなれず
学者や医者、技術者になったりする
特に軍隊での差別は顕著だった
後に東北の人が軍で出世するために
暗記ものに走った結果
軍隊内の硬直化をまねいたという話を思い出す
いずれにしろ根っこは薩長による明治革命だ
西郷隆盛は遣欧使節団に参加せず
”西郷政権”は内政改革を断行
その後故郷に帰り不平武士らに担ぎ上げられて挙兵
実は勝つつもりでいたらしいけど装備の違いは歴然
西南戦争に敗北して明治十年九月に自刃
こうして「維新」は完成する
「維新」という言葉は『詩経』由来らしいけど
日本近代史に登場するのは明治十年代の中頃からだったという
これも薩長史観からのプロパガンダなわけだ
日本人はガラガラポンの「一からやり直し」に乗りやすいんです。いまでも「維新」の声がかかると、一億一心になりやすい。しかし、事実はそんなものではない。改革とは非情なものだ、口当たりのいい、かっこいいスローガンにはよくよく気をつけなくてはいけない、「攘夷の精神」は早目につぶしなさい、というのは反薩長の私の感慨なんです。
半藤さんがかなり強い表現で否定してるもの
それは何なんだろう・・・
ずいぶん考えた
実をいうと「尊皇攘夷」の尊皇のほうも、実は怪しいものでありました。なるほど、知識人、政治活動家の間には水戸藩を中心とした尊皇思想や、吉田松陰が松下村塾で教えた尊皇の精神は徐々に広まっていましたが、ごく少数です。結局は、倒幕のためのイデオロギーという側面のほうが強かった。
桂小五郎(後の木戸孝允)が書いた手紙の中に「その期に先んじて甘く玉(明治天皇)を我が方へ抱き奉り候……万々一にも(玉を)かの手(徳川方)に奪われ候ては……芝居大崩と相成り、三藩(薩長、土佐)の亡滅は申すに及ばず」とあるように、天皇も倒幕のための駒に過ぎない、という冷徹さを薩長の指導者たちは有していた。それは公家たちと共謀して、やたらにニセの詔勅を乱発したり、錦の御旗を勝手にこしらえたりしたことからもうかがえます。
昔の日本人の多くが天皇の存在なんか知らなかったという史実は
左翼的知識として知ってるし
映画「もののけ姫」にもそんなシーンがある
もっといえば
後の勧業博覧会などにみられる
アイヌやウチナンチュへの露骨な差別をみると
近代国家建設とはどれだけ非情な革命であったかと思う
こうしたことから左翼であれば
反天皇制を主張するけど
別に幕府と諸藩、公家の連合政府でもよかったという歴史観があるわけでもない
一昔前の左翼なら
専制政治からいっきに発展して社会主義政権へ・・・
これまた大量の犠牲者を出す非情な革命になってしまってた
あと数年で明治革命から150年経ることになる
未曾有の危機と閉塞感から未来を危ぶまれる日本
日本人というまとまりのなかで
部分的利害に与したり贔屓しない
非情な暴力的行為で徹底的な破壊をしない
隣人の存在にも寛容な
そんな未来の国家像ってどんなものだろう・・・
半藤さんによればそれは
口当たりのいい、かっこいいスローガン
によらないというイメージになるのだから
まさに未知の未来への挑戦になるのだ