今日は芝居をみてきた

 

「脱線」―何が彼をそうさせたのか―

 

作・演出は玉井敬友さん

出演者は一般オーディションで選出

 

弦楽四重奏のクラシックをはさんで物語が進行

 

ラストはオペラ歌手による「千の風になって」

 

 

 

はじまりは音のみ

いつも電車の中で聴くガタンゴトン

 

伊丹駅→猪名寺駅→塚口駅→

次は~尼崎~尼崎~♪

 

やがてカーブにさしかかり・・・

すさまじい轟音が劇場内に響きわたる

 

耳をつんざくような大きな轟音

 

自分がここで何してるのか?

ふと忘れてしまうほどの激しい衝撃

 

これが事故の追体験へと誘ってくれる

 

 

砂埃がマンションの最上階くらいまで吹き上がり

 

10秒後くらいからうめき声や叫び声が聞こえだした

 

窓から上半身を出している人がいた

たぶん死んでた

 

手や足が反対方向に曲がってる人

 

頬が一部欠けてる人

 

頭が割れて脳みそが出てる人

 

友達とUSJに行くところや

あいつどこ行ったんや?とつぶやく少年

 

割れた窓ガラスに顔を張りつけて

お母さん助けて、と息も絶え絶えにうめく少女

 

 

凄惨な事故が描写されるのは

事故現場に居合わせた人たちへのインタビューシーン

 

 

 

ただし

芝居はあくまでフィクション

 

主人公はこの電車の運転士タツヤ

 

たった一人心許せる幼なじみのスミレがいる

 

どうして私のこと好きなん?

顔も、体型も、性格も・・・ 

 

コンプレックスだらけの問いかけに

タツヤは答える

 

人間は一つでもいいところがあったら十分生きていける

スミレはまっすぐ僕のこと見ててくれてる

いつでも僕のことを思ってくれてる

誰よりも・・・

 

 

二人とも運動が苦手

ドンクサイもんどうしやな

 

そう言って

スミレの肩を抱いて夢を語るタツヤ

 

子どもの頃「銀河鉄道の夜」を読んで運転士になりたいと思った

 

”僕は将来新幹線の運転士になるんや”

 

 

タツヤはスミレに

仕事の悩みも打ち明ける

 

日勤教育なんて嫌や

 

一日中草むしりばかり、それが3日も

 

ちゃんと眠れてるの?

と尋ねるスミレ

 

5~6時間は・・・でも最近寝付きが悪い

 

 

事故後の調査で問題となる

鉄道会社の体質も描かれる

 

ま~たオーバーランしたんか!

 

これで3回目やろ!

 

こんどやったら運転士飛ばすぞ!

 

アホ!バカ!カス!

 

もう死んでしまえ!

 

会長夫人に目つけられたらもう・・・

 

会社への忠誠心を書くんや!

 

窓が汚れてきたな、今度はここ掃除してもらおか

 

 

垂れ幕にはこんな文字

我が社は都市圏交通のアーバンネットワーク化

スピード化に最大の努力をする

どこよりも速く、どこよりも便利に

 

 

そして

2007年4月25日

 

オーバーランしたタツヤは車掌に

報告をごまかすよう無線で懇願する

 

車掌は司令に電話

8mのオーバーランのため1分30秒遅れと報告

 

司令からは

急いで1分30秒を取り戻して尼崎駅に着くように

強く念押ししての回答

 

 

インタビューシーンで

一両目に乗ってたという乗客の証言によると

 

運転士はまるで人形のように

身動き一つせずまっすぐ前を見て座っていたという

 

 

運転するジョバンニ

隣に座るカムパネルラ

 

新幹線の運転士になる夢に向かって進むはずだった・・・

 

どんどん加速していく電車

 

ガタンゴトン‥ガタンゴトン…

 

 

 

 

 

まだ23歳の若者が死に向かって加速するにまで

 

追い込んだものとは・・・

 

 

人間は一つでもいいところがあったら十分

 

辛いときこそ、こんなふうに勇気づけられたいって思う

 

 

みんなが困って余裕をなくして何かにしがみついてたら

 

誰もその人の身になって勇気づけてあげられなくなるだろう

 

 

そんなことで悩むことないよ

 

本当に大事なことだけ、忘れないでいようね

 

 

人にも自分にも

そんなふうにいってあげられる自分でありたい