107人が死亡、512人が負傷した2005年4月のJR福知山線脱線事故で、兵庫県尼崎東署捜査本部は8日、JR西日本の山崎正夫社長(65)ら当時の安全対策担当幹部9人と死亡した高見隆二郎運転士(当時23)の計10人を業務上過失致死容疑で書類送検した。鉄道事故で経営陣が書類送検されるのは異例。

 日経新聞朝刊によると、9人はこれまでの聴取に「事故は予見できなかった」と過失を否定。書類送検を受け、神戸地検は年内にも起訴の可否を判断するとしている。
 県警は山崎社長ら安全対策責任者だった5人について、現場カーブの危険性を認識できたのに、新型の自動列車停止装置(ATS)の設置を怠ったと判断。送検時に付ける四段階の意見のうち、起訴を求める「厳重処分」に次いで重い、刑事責任を問えとする「相当処分」を付けた。
 懲罰的な「日勤教育」や余裕のないダイヤ編成で運転士に心理的重圧を与えた疑いがあるとされた元専務(61)ら4人については、「事故との因果関係が薄い」として、四段階のうち最も軽く、起訴を求めない「しかるべき処分」の意見を付けた。高見運転士は死亡しているため同意見とした。
 調べによると、山崎社長ら5人は1996年12月に事故現場のカーブを半径600メートルから約300メートルの急カーブに変更した際に新型ATSを設置せず、事故防止を怠った疑い。
 山崎社長は当時、常務鉄道本部長として安全管理全般を統括していた。

 事故から3年以上経ってようやく事件かどうかを判断することになった。事故で亡くなった方のご遺族、生き残って障がいを負いながら懸命に生きる人たちがいる。立ち止まってゆっくり休むところから、一歩一歩進んでいく日常を始めている人が少しずつ増えてきた。被害にあった人たちの気持ちに寄り添いつつ、この事故を厳正に審理する機会をしっかりと見守りたい。