日経新聞によると、ロシアのメドベージェフ大統領は26日、グルジアから分離独立を主張する南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を承認する大統領令に署名し、反発する米欧について「新冷戦を恐れていない」と発言した。

 メドベージェフ大統領は外務省に対し、南オセチアとアブハジア自治共和国の分離独立と国交を樹立し、「友好協力相互援助条約」を結ぶよう指示した。南オセチア分離派の指導者ココイトイ氏は「ロシアに軍事基地の設立を要請する」と表明。ロシアは両自治地域を独立国と認めた上、軍事協定を結ぶことで、両地域への軍駐留だけでなく「平和維持」の名目でグルジア各地の占拠正当化する構えとみられる。
 グルジアからの完全撤退を求めてきたEUが対ロ政策を協議する9月1日の緊急首脳会議を待たずにロシアが強硬手段に訴えたのは「欧米の指図は受けない」というメッセージにほかならない。
 プーチン首相は25日にWTO交渉でロシアの利益に反する合意事項を破棄するとも表明しており、国際協調を顧みない「大国」としての振る舞いを誇示している。
 背景にはエネルギー輸出をテコに経済的に復活してきたことがある。南オセチアなどの独立承認声明を受け、投資マネー流出が鮮明になってきているが、「投資家はロシアを無視できない」と自負している。独仏などはエネルギー供給を依存するロシアとの対立激化は望んでおらず「米欧は対ロ制裁でまとまれず、いずれ譲歩してくる」との読みもある。
 対イラク戦争、コソボ独立、米国による東欧へのミサイル防衛(MD)配備、そしてNATOの東方拡大。ロシアには米欧がロシアの反対意見を無視し続けてきたとの思いがある。欧州外交筋は「グルジア侵攻の根っこにプーチン氏の積年の恨みを感じる」と述べ、対立エスカレートへの懸念を示した。

 グルジアのサーカシビリ大統領は声明を発表。「ロシアは欧州の国境を武力により変えようとしている。法的根拠はまったくない」と強く非難。

 ライス米国務長官は「極めて残念だ。アブハジアと南オセチアは国際的に認知されたグルジアの国境の一部。ロシアの大統領は自ら署名した約束事を守っていない」と不快感を示した。
 EU議長国フランスのサルコジ大統領も「強く非難する」と表明。
 ドイツのメルケル首相は「国際法に違反しており受け入れられない」と指摘。
 英国の外務省報道官は「地域を不安定にさせる」と述べた。
 高村外相は「平和的解決に向けた国際努力が継続しているなかで、一方的に独立を承認したことは遺憾だ」「主要8カ国のメンバーとして責任ある行動を強く期待する」と強調している。
 
 ロシアのラブロフ外相は「各国が常識的に対応することを期待している」などと述べ、ロシアが孤立するとの見方を否定した。

 黒海では米ロの艦艇が停泊中。すでにミニ冷戦が始まっている。軍閥が民主的なプロセスで実権をにぎるロシア政権。国際経済に組み込まれる中で、エネルギー資源を武器に底力をつけてきた。しかし、以前もっていた政治・軍事的覇権は後退してきた。欧米主導のルールに従うしかなかった積年の恨みが今、強引な軍事行動となって噴出しているのかもしれない。
 国際緊張は、アフガンのタリバンによる拉致などのテロ、北朝鮮の核無能力化中断にもみられる。
オリンピックにタイミングを合わせたかにみえ、同時多発的になっている。
 米国は大統領選前で現ブッシュ政権はレームダック化。金融不安、原油高、食料高とたて続けに不安が高まるところへ、なぜかちょうど軍事緊張が発生し、解決に乗りだし外交成果を上げるというのがいつもの米国のパターン。しかし、今後もこれが続けられるかどうか・・・いよいよ世界的な変化がみられるかもしれない。たいへんなことになってしまうけど。