地域で産科が減っている。そのきっかけになったといわれる福島県立大野病院での患者死亡事件で、福島地裁は担当の医師を無罪とした。
日経新聞朝刊によると事件の流れはつぎのとおり
2004年に福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した。
「結果として準備血液は不足していた」という県の事故報告書がきっかけで県警が捜査開始。
子宮に癒着した胎盤を切り離す際に手術方法や判断にミスがあったとして、医師は逮捕、起訴された。
検察側「癒着した胎盤をはがすのを中止し、子宮摘出の手術に以降すべきだった」として立件。
福島地裁「医療行為の結果を正確に予測することは困難」として無罪判決。
日本は世界一お産が安全な国、とされる。1960年に2000人を超えていた妊産婦の死亡は、2006年には54人にまで減った。
しかし、皮肉なことに安全が確立したことで、死亡や障害が生じたケースで医療訴訟に発展するトラブルが増加。医師1000人あたりの訴訟の提訴件数(04年)は産科が12.4件で、外科(10.9件)や内科(3.8件)を上回り、診療科で最も多い。
「安全なはずなのに、なぜ我が身に・・・」という患者側
「医療には不確実性があり100%の安全はありえない」という医療側
医療事故は後を絶たない。そこで問題になるのは、患者や家族に十分な説明をし、同意を得たかという点だ。この事件でも家族は病院側の説明に強い不満を抱いている。
日本医師会の調査でも、「医療者の対応によって訴訟が減るか」との問いに患者の86%がイエスと答えている。
大野病院事件をきっかけに国は、事故が起きた際にいきなり警察ではなく専門家による第三者委員会で調査する制度の創設議論を急いだ。「医療安全調査委員会(仮称、医療事故調)」設置の大綱案を厚生労働省が6月に公表したが、事故調がどのような場合に警察に通告するかの基準を巡り意見が対立している。
主要学会や医療事故を経験した被害者らが早期設立を目指し一致しつつある事故調創設に向けた議論が紛糾するおそれもある。政府は秋の臨時国会で法案提出を探るが、「警察に医療事故の原因究明ができるのか」と捜査介入を警戒し医療界の意見がまとまらなければ「法案提出は見送らざるを得ない」(同省)。
この事件以降、福島県内で分娩を休止した病院は予定も含めて12病院あるという。
逮捕前の2005年末時点と比べると、今年7月1日時点で県内で産婦人科を掲げる医療機関は15.3%も減っている。
事故原因の究明、再発防止、さらには萎縮医療を避けるためにも事故調は必要であり、議論を進める必要がある。
「皆が不幸になる負の連鎖」を断ち切らないと、犠牲になるのは妊婦や赤ちゃん、少子化社会の将来を担う子どもたち。患者側にも医療に対する不信感があるし、医療側にも警察に医療が分かるか?という不信感があるが、何とかしないといけない。そのためにはまず「どのような場合に警察に通告するか」について議論をつくして事故調を創設すべきた。秋の臨時国会で見送られたり、他の案件に注目が集まって議論不十分なまま法案が通らないようにしたいところ。
また、国民みんなが健康に生活していくという視点でみると、現状の医療が適切だとは限らないというか、患者側の意見も医療側の意見もそのまま反映してもうまくいかないだろう。医療と保険は商売上対立するし、医療や代替医療、健康増進やスポーツ奨励などの施策といったたくさんの要素を含めた総合的な視点で医療の適正化がはかられるのが筋だと思う。しかし、政治が医師会のロビー活動に振り回されるようでは、みんなが困る。
日経新聞朝刊によると事件の流れはつぎのとおり
2004年に福島県立大野病院で帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した。
「結果として準備血液は不足していた」という県の事故報告書がきっかけで県警が捜査開始。
子宮に癒着した胎盤を切り離す際に手術方法や判断にミスがあったとして、医師は逮捕、起訴された。
検察側「癒着した胎盤をはがすのを中止し、子宮摘出の手術に以降すべきだった」として立件。
福島地裁「医療行為の結果を正確に予測することは困難」として無罪判決。
日本は世界一お産が安全な国、とされる。1960年に2000人を超えていた妊産婦の死亡は、2006年には54人にまで減った。
しかし、皮肉なことに安全が確立したことで、死亡や障害が生じたケースで医療訴訟に発展するトラブルが増加。医師1000人あたりの訴訟の提訴件数(04年)は産科が12.4件で、外科(10.9件)や内科(3.8件)を上回り、診療科で最も多い。
「安全なはずなのに、なぜ我が身に・・・」という患者側
「医療には不確実性があり100%の安全はありえない」という医療側
医療事故は後を絶たない。そこで問題になるのは、患者や家族に十分な説明をし、同意を得たかという点だ。この事件でも家族は病院側の説明に強い不満を抱いている。
日本医師会の調査でも、「医療者の対応によって訴訟が減るか」との問いに患者の86%がイエスと答えている。
大野病院事件をきっかけに国は、事故が起きた際にいきなり警察ではなく専門家による第三者委員会で調査する制度の創設議論を急いだ。「医療安全調査委員会(仮称、医療事故調)」設置の大綱案を厚生労働省が6月に公表したが、事故調がどのような場合に警察に通告するかの基準を巡り意見が対立している。
主要学会や医療事故を経験した被害者らが早期設立を目指し一致しつつある事故調創設に向けた議論が紛糾するおそれもある。政府は秋の臨時国会で法案提出を探るが、「警察に医療事故の原因究明ができるのか」と捜査介入を警戒し医療界の意見がまとまらなければ「法案提出は見送らざるを得ない」(同省)。
この事件以降、福島県内で分娩を休止した病院は予定も含めて12病院あるという。
逮捕前の2005年末時点と比べると、今年7月1日時点で県内で産婦人科を掲げる医療機関は15.3%も減っている。
事故原因の究明、再発防止、さらには萎縮医療を避けるためにも事故調は必要であり、議論を進める必要がある。
「皆が不幸になる負の連鎖」を断ち切らないと、犠牲になるのは妊婦や赤ちゃん、少子化社会の将来を担う子どもたち。患者側にも医療に対する不信感があるし、医療側にも警察に医療が分かるか?という不信感があるが、何とかしないといけない。そのためにはまず「どのような場合に警察に通告するか」について議論をつくして事故調を創設すべきた。秋の臨時国会で見送られたり、他の案件に注目が集まって議論不十分なまま法案が通らないようにしたいところ。
また、国民みんなが健康に生活していくという視点でみると、現状の医療が適切だとは限らないというか、患者側の意見も医療側の意見もそのまま反映してもうまくいかないだろう。医療と保険は商売上対立するし、医療や代替医療、健康増進やスポーツ奨励などの施策といったたくさんの要素を含めた総合的な視点で医療の適正化がはかられるのが筋だと思う。しかし、政治が医師会のロビー活動に振り回されるようでは、みんなが困る。