日経新聞朝刊の社会面によると、政府は14日夕、日朝実務者協議で合意した拉致問題の再調査の進め方などについて、拉致被害者家族への説明会を開いた。外務省の斎木昭隆アジア大洋州局長は北朝鮮が調査委員会を立ち上げ、再調査を実施するとの段取りを説明。そのうえで「(過去の再調査の結果を)白紙に戻し、調査をやり直すと考えてほしい」と理解を求めた。
 中山恭子拉致問題担当相は「北朝鮮が被害者を帰国させるという決断をできる状況に持っていきたい。(帰国なしに)調査が終わりましたということには決してなってはいけない」と強調した。
 拉致被害者家族会の飯塚繁雄代表(70)は「今までと違いようやく解決に向けての流れが見えてきた」と期待。横田めぐみさん(失踪当時13)の父、滋さん(75)も「(合意事項が)実行されれば大きな成果が上がると期待している」と語った。
 ただ、実行性に関し、飯塚代表は「日本が有利な状態で調査を促し、検証していくことをぜひ忘れないで」と述べた。


 過去の調査を白紙に戻して、最初から調査をやり直すことが本当にできれば、これは大きな成果。拉致被害者の帰国に向けて大きな前進になる。問題は、本当にちゃんと再調査するかどうか。
 北朝鮮は自身が引き起こした問題をカードにするという無節操な手法を毎度使う。核開発を巡る交渉と同様に、サラミのように細かく段階を区切ってくると思われる。政府は、北朝鮮に何度でもやり直しを請求できるように共同調査をしないことにしたといっている。たしかに、北朝鮮の外交をみていると、根拠希薄なのに強引に気分だけで拒否ってるシーンがままある。だから、こちらもそのレベルに合わせておく必要があると思う。
 実際、韓国人観光客を射殺した事件でも、根拠なしに居直っている。罪の重さなんてどうでもいい。過去を正当化しないと自分たちが生きていけないという切実さが強く表れている。言い換えれば、生き残るためならいかなる条件交渉も、ぜんぜん関係ないものとの交換もあり得るということだ。彼らは、別に拉致問題をうやむやにすることを目標にして外交を展開しているわけではない。拉致問題の次にくる交渉課題がみえてきたら、拉致問題の解決時期もスケジュールにのぼってくるのが必然。彼らが何を目標にして何を本当に求めているかをよく探ることが肝要で、それと引き替えに拉致被害者を帰国させるのが交渉だ。北朝鮮が強引な外交でもらうばかりの歪な国から、ちゃんと国際社会に再デビューしてギブ&テイクを遂行できるようになるまでにできることは何か?さらに、その過程を通じて日本が得られるものは何か?被害者に対して失礼な面もあるけれども、戦略的に考えることがかえって解決につながるシーンであり、拉致問題の解決を危機管理ではなく主要な目標においているのなら、ちゃんと理解が得られると思う。