日経新聞によると、ロシア政府は小麦など穀物の輸出を管理する国策会社を設立する方針を固めた。民間企業も取り込み、3年後に輸出の5割を事実上、政府支配下に置く計画。国際相場の高騰で穀物の戦略性が増しているとの判断が背景にある。政府系の天然ガス独占会社ガスプロムのような企業に発展させ、勢力拡大に利用する思惑があるとみられ、西側諸国は警戒を強めている。
 ロシア政府筋によると、第1段階として、国営の食品市場管理公社に政府が保有する穀物輸出関連の28社の株式を移管し、新会社を設立する。輸出コンビナートや製粉所、倉庫などが含まれ、穀物輸出の約15%に相当する権益が同社に統合されることになる。
 政府はさらに統合会社の株式を公開し、同社の株式と交換で民間企業から穀物輸出権を取得する計画という。政府の株式保有率は株主総会で拒否権を発動できる25%超を想定している模様。表向き「国営」とはならないものの、資源産業と同様に政府の支配が強まることは確実。ロシア政府は穀物輸出への課税や食品値上げの凍結命令を出すなど食料市場への統制を強めている。


 メドべージェフ大統領は洞爺湖サミットで「ロシアは世界の食糧市場に貢献できる」と語ったらしい。実際、ロシアの食料輸出は既に米国、カナダ、豪州などに次ぐ規模。その上、休耕地の再利用もできるし、温暖化の影響で耕作可能な面積が広がる可能性もある。
 しかし、ロシアと西側諸国という20世紀的な構図は依然としてある。ガスプロムやニッケル生産世界一の民間企業ノリリスクニッケルのトップにもプーチン首相に近い政府幹部を送り込み、民営化に逆行する「プーチン路線」が続いている。西側が警戒を強めるのはロシアが資源などの輸出を勢力拡大の武器にしているから。親欧米のウクライナへの天然ガス供給を一時止め、政治的に対立するバルト各国への石油供給は長期停止中。原子力協力や武器輸出の見返りに中東勢などにエネルギー開発利権などを求めるケールもあるとか。
 かつての対立軸が、世界経済、自由競争へとステージを変えつつも、世界再編を進めつつある。