日経新聞によると、WTOの閣僚会合は29日、先進国と新興国の溝が埋まらず、決裂した。

 今回の多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)には153の国と地域が参加した。農産品や鉱工業品関税を一律に削るルールをつくり、世界全体の貿易拡大につなげる狙いがあった。2001年末から7年に及ぶ議論を重ねたものの、急速に発言力をつけた新興国と、議論を手動する力を失いつつある先進国の溝は大きかった。

 争点は関税削減で輸入が急激に増えた場合、農産品の関税率を引き上げられる特別セーフガード(緊急輸入制限)の扱い。インドのナート商工相は議長調停案で「基準輸入量の140%に達した場合」となっている発動要件を事実上撤廃し、途上国や新興国の判断で実施できるようにすることなどを求めた。米国のシュワブUSTR代表はインドの主張を踏まえた調停案の修正を拒否。これで情勢は一変、交渉は決裂に向かっていった。

 今回の交渉で米国は台頭著しいインド、中国に強硬姿勢でのぞみ、鉱工業品お市場開放で中陰に一段の譲歩を迫った。
 米国は中陰が化学や工作機械など産業分野別の関税撤廃に消極的な点を問題視。
 中国交渉団は即座に反発。逆に米国のアキレス腱である農家向けの補助金問題を突き、追加削減を要求する生命を全体会合で読み上げた。
 新興国は米国に緊急輸入制限の緩和に加え、補助金の追加削減を求めたが、米国は首を縦に振らなかった。

 日米欧と豪州、ブラジル、インドで構成する少数国会合に中国が初めて参加した。中国の市場開放が真の狙いの米国にとって、中国を議論の場に迎えるのは必要な措置だが、相対的に新興国の発言力が増し、交渉の力学も大きく変わった。世界経済の中で新興国が台頭し、先進国の地位が低下する中で、国際通商交渉の難しさを示した。


 7年越しのドーハ・ラウンドは年内決着は無理みたい。あとは、米国新政権が半年くらい経って定着する頃がチャンスだというから1年後になる見通し。石油資源の枯渇と地球温暖化、カネ余りによる原油や食料の高騰といった現象の中で、先に発展した国と、今めちゃめちゃ発展している巨大な国とが、折り合いをつけられないでいる。これによって懸念されるテーマは貿易の自由化。さらには保護主義が膨らんで世界貿易そのものが後退しかねないおそれもある。米国のサブプライムローン問題に端を発する景気後退が、ドルー原油連動制からくる原油高を調整できなくなり、米ドルが売られ続けていることも、世界経済への信頼後退に拍車をかけてしまっている。
 そんな中で、今まさに発展中の中印は、米国主導の世界経済から自立した形での発展を模索する動きを強めるだろう。