銚子沖で漁船が転覆したという事故が昨夜から気になる。昨日夕方には携帯電話のネットニュースですぐに知ることができ、テレビの「報道ステーション」で「この原油高で漁に出ても採算が合わない折にほんとにお気の毒」といったコメントに本当に共感した。今朝は「とくダネ」でより詳しく解説され、2mの波の中で停泊していたのやはり燃料節約のためではないか?といわれていた。


 日経新聞朝刊によると、23日午後2時ごろ、千葉県銚子市の犬吠埼灯台の東約350キロの海上で、カツオ漁に出ていた福島県いわき市の巻き網漁船「第58寿和丸」(今野恵洋船長以下20人乗り組み、135トン)が転覆、沈没した。僚船が7人を救助したが、生存者は3人、4人が死亡、13人が依然として行方不明。

 第58寿和丸は「小名浜機底曳網漁業協同組合」に所属。今野船長以下20-64歳20人が乗り組み、4日から同じ「酢屋商店」所有の7隻と船団を組んでいた。事故のときは、荒天のため漁を中止し、強風時に船を安定させるために「パラシュートアンカー」といういかりを下ろして停泊中だった。


 第58寿和丸は135トン20人乗りで漁船の中ではかなりの大型。船団を組んでいた8隻の中では、これより小さな僚船があり、同様に停泊していたにもかかわらず、この大型船だけが沈没した。事故当時の2mという波はこの船にとっては危険な高波ではないが、専門家によると、多くの波の波長が偶然重なって高さ10mほどの波になることがあるらしい。「三角波」という現象で1000分の1ほどのわずかな確率で発生し、漁師たちにとっては常識。めったにないことだが、この「三角波」が真横から2回以上立て続けに襲われると、沈没する可能性はあるとのこと。気になるのは、航行中よりも、停泊中の方が波にあおられる危険が高いこと。原油高の影響で、漁をやめざるを得ない漁船が増えることに加え、船舶の停泊時間が以前より長くなってはいないかと心配になる。


 先週20日金曜日にはフィリピンで客船が沈没した。

 昨夜配信されたYAHOO JAPANニュースの毎日新聞ネット版によると、台風6号が襲ったフィリピン中部シブヤン島沖で、客船「MVプリンセス・オブ・スターズ」(2万3824トン)が沈没した。運航会社「スルピシオ・ラインズ」は23日、死者12人と生存者32人を確認したと明らかにした。同社によると、乗組員と乗客は計862人で、依然大部分が行方不明となっている。
沈没現場から北へ約100キロ離れたケソン州の海岸で、複数の救命ボートで漂着した生存者が見つかった。全員、命には別条ないという。
 客船は20日、マニラ港をセブ島に向け出航。同国中部シブヤン島の数キロ沖合で21日昼ごろ、台風6号による高波を受け「岩に衝突した」という無線を最後に連絡が途絶えた。
 運航会社によると、沈没した船は同国最大の客船で、04年5月に日本の新日本海フェリーから購入。以前は「らいらっく」の船名で、京都府の舞鶴港と北海道の小樽港間を運航していたという。


 沈没した船が日本のお下がりだったと聞くと、さらに辛くなる。フィリピン最大の客船が沈没して800人もの人が行方不明なのだ。フィリピンの台風は例年すさまじいと聞く。原油高のこの時期にどうして沈没事故なのか?とまた気になる。

 そして、個人的に気になることもある。去年10月、筆者はネグロス島のバコロドシティを訪れた。「マスカラ・フェスティバル」というお祭りを見に行ったのだ。毎年市をあげて催される盛大な祭典で、各地区で数十に分かれたチームがダンスと衣装、そしてマスカラ(マスクのスペイン語)のデザインで競い合う。この時期、朝から夜中まで路上に設置された巨大なスピーカーからご機嫌な音楽が鳴り響き、街中が微笑むマスカラの意匠であふれる。

 このマスカラの由来は、客船の沈没だったと聞いている。かつてネグロス沖で客船が沈没し、多くの人々が亡くなり、街は悲しみで満たされたという。そのときから、ネグロスの人々は泣き顔を笑顔のマスカラで覆い、悲しみを乗り越えて、貧しくても楽しく元気に生きようとしてきたという。

 穀物価格高騰で生活がますます困難になる中、深い悲しみに襲われる人たちの気持ちを思うとたまらなくなる。みんながこの悲しみから立ち上がる日を、遠くから見守りたい。