木馬 

 

       日の落ちかかる空の彼方

       私はさびしい木馬を見た 

       幻のように浮かびながら

       木馬は空を渡っていった

 

 

       やさしいひとよ 窓をしめて

       私の髪を撫でておくれ

       木馬のような私の心を

       その金の輪のてのひらに

       つないでおくれ

       手錠のように

 

                 大岡 信