酩酊船   

       
       さてわれらこの日より星を注ぎて乳汁色の 

       海原の詩に浴しつつ緑なす瑠璃を喰らひ行けば

       ここ喫水線は恍惚として蒼ぐもり

       折から水死人のただ一人想ひに沈み降り行く



       見よその蒼色忽然として色を染め

       金紅色の日の下にわれを忘れし揺蕩は

       酒精よりもなほ強く汝が立琴も歌ひえぬ

       愛執の苦き赤痣を醸すなり  



                     アルチュル・ランボオ

                     小 林 秀 雄 訳