りおが復学をすることは、長いこと人に言えずにいた。
両親にも報告するべきがどうか迷っていた。
両親はひたすらにりおの回復を願い、変わらず愛情を注いでくれたのだが、やはり病状を伝えても目の前でりおの様子を見ているわけではないから、りおの状態を理解できない。
食い違う言葉と、「いったい何が原因でこんなことになってしまったのか?」という無言の思いに疲れて、私はりおのことをあまり両親に話さなくなっていた。
りおが復学を考えているといったのは確か6月だったかな?
その時はまだ真に受けていなかったけれど、6月の診察で先生からOKをもらったという話から現実味が帯びてきた。
6月は歩く姿がしゃんとしてきたとか、ずいぶん速く歩けるようになったというくらいの印象だったけど、夏になってから動ける量も明らかに増えてきた。気持ちが上がって体も引っ張られているかもしれない。
少しずつ回復してきたのか、今たまたま体調がいいだけなのか、実は私にはわからない。
一時的なことという可能性もあるし、けどできたら、できたらこれが「回復の兆し」であってほしい。
だからなかなか人にも話せなくて、特に両親に「喜ばせてがっかりさせて」というお決まりのパターンを味合わせるのは辛いので、なかなか報告できずにいた。
昨日、東京に住む友人にりおのことを伝えた。
「うれしい報告」だと彼女にメールで書きながら、「けどうれしいという感情が湧かない」とも書いた。
そしたら彼女から「喜んで!たくさんたくさん喜んで~!だって今まで一度もこんなことなかったじゃない。すっごい進歩だよ」と返事が来た。
なんかそれを見て涙が出て、喜べばいいのか~と思った。
また落ち込む結果になることが怖くて、どうやら感情に蓋をする癖がついているようだ。
先のことはわからないけど、今は今までできなかったことが少しできていることを喜ぼう。
両親にも報告しようと思った。