近所の映画館が営業を自粛してしまい、
映画館にたくさん足を運ぶという意気込みが全く達成できないまま2020年上半期を終えそう。
そして私は引きこもり大好きすぎて気がつけば1ヶ月半、電車にもバスにも一度も乗っていない。
いや自粛に真面目か?
そんなわけでお家で割と映画を観たりしているよ!つい昨日観たこれ、私はこういう暗くて突っ込みどころ満載の日本映画大好き。
ミステリー仕立てになっている作品のため、
「謎」部分に関するネタバレは一切ないけど、
作品中の細かいシーンや内容についてはゴリゴリ触れていきます!
◼️あらすじ
15歳年上の男・陣治と暮らしながらも、8年前に別れた男・黒崎のことが忘れられずにいる女・十和子。不潔で下品な陣治に嫌悪感を抱きながらも、彼の少ない稼ぎに頼って働きもせずに怠惰な毎日を過ごしていた。
ある日、十和子が出会ったのは、どこか黒崎の面影がある妻子持ちの男・水島。彼との情事に溺れる十和子は、刑事から黒崎が行方不明だと告げられる。どれほど罵倒されても「十和子のためだったら何でもできる」と言い続ける陣治が執拗に自分を付け回していることを知った彼女は、黒崎の失踪に陣治が関わっていると疑い、水島にも危険が及ぶのではないかと怯えはじめる。
(公式サイトより)
◼️おもしろポイント
偏見かもしれないんですけど、こういう雰囲気の邦画って割と突っ込みどころ満載じゃないですか?
パッと思いついたのだと、『昼顔』『生きてるだけで、愛。』『愛がなんだ』とかとか。
私はそういうところにいちいちウケつつ、暗い部分でぶすぶす刺されるのが大好き。
この映画の冒頭は、蒼井優の演技の凄まじさに圧倒される良シーン。
コテコテの関西弁で、百貨店やレンタルビデオ店にクソくだらない鬼クレームをつけまくっている。
▽この映画では、蒼井優演じる十和子のことを「色っぽいな」と感じることはあっても「美人だな」と思うことはなかった。メイクとか役柄でそういうとこまで操れちゃうのすごいな〜
冒頭から、十和子が頭のネジ2〜3本いっちゃってるやばい女だということをしっかり印象づけてくるこの構成はとても良い。
そして第一にして最大の突っ込みどころは、
十和子が不倫関係を持つことになる色男・水島が、十和子が鬼クレームつけてた百貨店の売場主任であるということ。
時計の修理についてクレームをつけまくった挙句、同等価格の時計を売場主任に自宅まで持って来させるというクレーマー界最悪のめんどくさソリューションに持ち込んだ十和子。
そこで自宅にやってきた水島の前で、
「大事な時計だったんです…ッ!」と言って泣き出した激怖マジキチ女にいきなりキスするサイコパス男。
妻子持ちなのにやばい女に手を出す危機管理能力の無さも超やばいし、クレーマーと現場責任者の関係性からはどう考えても愛は生まれないだろうよ。
ここで「嘘やんww」ってなってめちゃ笑えた。
ちなみにこの男はセックスの際になぜか十和子に「あーーーーって声出して。もっと長く。しっかり。」と、喉風邪の診察をする町医者みたいなことを言う謎の性癖がありそこもウケポイント。
そして十和子が一緒に暮らす男・陣治のキャラ設定もなかなか強烈。
十和子より15歳年上で恐らく50歳前後の陣治は、建設業に従事する金も地位もない下品な男として描かれているけれど、
その不潔で下品な感じがめっちゃすごい。
あー、これは生理的に無理だわ。って思わされる要素がたくさんあって、献身的に愛情を捧げ、尽くし、すごく優しいんだけど十和子には愛してもらえないというポジションに説得力がある。
陣治の習慣のひとつに、就寝前の十和子にマッサージを施してあげるというものがある。
実に幸せそうな表情で彼女に触れる姿もまた絶妙に気持ち悪いが、その最中に劣情を催す様子はさらに気持ち悪い。
が、マッサージさせている(ついでに生活の面倒も見てもらってる)にも関わらず、十和子はそんな陣治に対してガンギレする。
思いっきり突き飛ばし、蹴りを入れ、
「人間のクズ!!このスカタン、ドジョウ野郎!!」
と罵るところは2人の関係性をなかなかにえぐく切り取っていて良い。
ちなみに十和子はやばい女なので自分の気が向いたときには性感マッサージに誘導する。
そして陣治も大概どうかしてるので、「なんや、今日はしたいんか?」と言って十和子を気持ちよくしてあげるが、その後は
「ええんや、俺は自分でするから。気にせんで寝な」と声をかける。
え、どんな気遣いなん?ww
その気になってるんだからすればいいじゃんその優しさ必要?という素朴な疑問でしばらく笑ってた。
また、後半、陣治が水島に嫌がらせをしていることに気づいた十和子が陣治に詰め寄るシーンがある。
「陣治、あんた水島さんちのポストにエッチな玩具入れたやろ」
と言う十和子に対し、こともなげに
「あぁ、たこぱんてぇか」と応じる陣治。
割とシリアスなシーンなのにめちゃくちゃわろてもた。
たこパンティってなに!!
そんな玩具あるん?と思って調べてみたけど何もわからなかった。知ってる人いたら教えて…。
◼️刺さったとこ
そんなわけで(?)とても面白く観れたこの映画、もちろんぶすぶす刺さったところもある。
例えば十和子の、元恋人・黒崎を引きずるその引きずり方。
ことあるごとに思い出して虚実入り混じった妄想を繰り広げたり、思い出の動画(ハメ撮り含む)を幾度も観返してしまったり、夢に見たり、電話をかけたはいいものの怖くなって相手が出る前に切ったり…
あーいやまぁ、分かるなぁ。
きっと黒崎との終わり方が最低最悪で、自分の手で綺麗に幕を降ろせなかった分、深いところに残ったままなかなか抜け出せない。
そして十和子の、陣治に対する気持ちのあり方と、恋の仕方。
十和子にとって陣治は紛れもなく必要な存在だし、そのことを自分で理解もしているんだけど、ただただ恋愛対象ではないから、愛を押し付けてくる陣治に対してどうしても優しくできない。
十和子が恋するのはいつも、幼稚で中身が軽薄なくせに格好をつけることばかりに一生懸命な男ばかり。(かわいい♡と思って近づくのはOKでもかっこいい♡と思って夢中になったら終わりなタイプのアレ)
でも十和子は彼らのそんな欠点に、決して気づいていないわけではない。
駄目な男だってちゃんと知ってるし、彼らの約束は大体守られないということも分かっているけれど、好きなものは好きだから欠点とかあっても関係ないんだと思う。
自分がそういう愛し方をしているからこそ、陣治の愛も信じ切って絶対的な甘え方ができる。
細かすぎるので書かないけど、こういった心情の描き方の細部にも拘りが感じられ、印象的な映像が用いられていて好き〜ってなった。
ところがレビューを書くにあたり公式サイトを見ていたら、十和子を始めとする登場人物たちへの「共感率0%」という煽り文句がありメンタルが死んでしまった。
全部が全部というわけじゃないけど共感するポイントがある奴もおるんやぞ。ゼロではないじゃろゼロでは。メンヘラにも人権を。
広告コピーを作る上で「真の愛」みたいなのを前面に押し出しちゃったのは、仕方ないとはいえ本質的ではないなぁと思った、が、その視点で観なければ面白くて良かった。退屈なシーンもない!
◼️まとめ
一緒にこれ観てた人が
「俺も一生マッサージしてあげるね!」と献身的な愛情を表明してくれたため、
「じゃあ私安心してダメ男に惚れて病み散らかせるね〜よかった〜♡」という会話をした。
今はみんな自粛という非日常時間で頭がおかしくなっているので、
元から頭がおかしくてもそれを言い訳にできてとってもいい感じ!
こういう面白くて暗くて雰囲気に拘ってる映画大好きだからおすすめあったら教えてほしいです。
◼️公式サイト





