今日ご紹介するのは、セルジオ・マルチーノ監督の1973年のイタリア映画「影なき淫獣」(Torso)である。70年代の映画は結構リアルタイムで観ているが、当時映画館で観られなかった作品はできるだけDVDでカバーするようにしてきた。ただ、ホラー映画は観ていないジャンルの1つなんである。

“ジャッロ(Giallo)の傑作”という評価もされている本作だが、そもそもジャッロって何なんじゃろ?　(急に広島弁…)　私はまったく知識がないので、正しい解釈と解説は詳しい方に譲るとして、当時、私がリアルタイムで観たホラー作品で言えば、「悪魔の墓場」を観た当時はジャッロなんて言葉はなかったし、「ゾンビもの」という表現もまだなかった。「エクソシスト」や「オーメン」「マニトウ」がオカルトものと言われたり、「悪魔のいけにえ」がスプラッターと言われたりし始め、ホラー映画も多様化してきて、ダリオ・アルジェントの「サスペリア」あたりからこのジャッロというジャンルが少しずつ確立し、人気も出てきたように個人的には思う。

本作は、TVでは「エロスの恐慌・影なき絞殺魔／女子学生戦慄の体験」といったタイトルで放映されたが、女子大生たちが脱ぐシーンの多い映画である。お〇ぱい画像は記事自体が消されたりするので、極力そういう画像は避けたいが、メインクレジットからこんな調子である。

でも、本作の見どころはそんなところにはなく、映画としてきちんと楽しめる作りになっている。すぐ脱いじゃうので誰もブラジャーを付けていないが、そこも見どころではない。

主人公たちは大学の町と言われるペルージャの大学で美術を学ぶ学生たちだ。フランツ教授に、「恐竜100万年」などのジョン・リチャードソン。　

主人公のジェーンを演じたのはイギリスの女優、スーザン・ケンドール。アメリカから美術を学びに来ているという設定だ。

ダニエラを演じたのは、ティナ・オーモンだ。

最初の事件。学生カップルが車の中で楽しんでいて、

2人とも殺される。絞殺に使われたスカーフが映画の重要な小道具となる。

同様の殺人が続けて起こり、警察も大学にやってくる。

ダニエラをしつこく付け回す同級生のステファン(ロベルト・ビサッコ)ほか、登場する男性陣は総じて目つきも悪く、怪しく見える。

医者役のリュック・メランダまでこんな目つき。

スカーフで首を絞め、眼球を指でつぶし、ナイフで胸を切り裂く犯人は誰なのか、そして動機は?　

ダニエラとジェーンをはじめとする4人は別荘に避難する。同級生のカーラ・ブライト(左)とアンジェラ・コヴェロは別荘に来ても脱ぐんだけど、脱ぐ直前の画像を選びました。

殺人鬼は別荘まで来て、怪我をして2階で1人休んでいたジェーン以外はすべて殺される。

死体をノコギリで切り刻んで運び出す殺人鬼と隠れてそれを目撃するジェーン。

ケンドールの熱演もあり、ラスト30分の緊張感は実に素晴らしい。

マルチーノ監督は、私のブログでは「ハチェット無頼」(1977年)しか紹介していないが、ほかに「イタリアン・コネクション」(1973年)、「ドクター・モリスの島／フィッシュマン」(1977年)など、非常に個性的で記憶に残る作品を作っている。製作にはカルロ・ポンティの名前もあるし、何といってもグイド＆マウリツィオ・デ・アンジェリスの音楽が素晴らしい。緊張感を盛り上げるスコアもあるんだけど、中心になるのは相変わらずの作品の雰囲気とは無縁の(?)楽曲だ。でも、本作ではその出来がよくて、アンジェリス兄弟の底力を見直した次第である。ホンマかいな。

音楽についてはサントラ仲間のska-n-tasticさんが紹介しているのでご参考まで。彼は、取り上げる価値のないサントラも紹介してますが、価値のあるサントラはちゃんと押さえています。

『影なき淫獣』I CORPI PRESENTANO TRACCE DI VIOLENZA CARNALE監督：セルジオ・マルチーノ音楽：グイド＆マウリツィオ・デ・アンジ…

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