今日は久々の香港武侠映画、「名劍」(The Sword、1980年ゴールデンハーベスト作品)を紹介したい。監督は譚家明(パトリック・タン)。

映画の冒頭は世界一の剣士と言われる花千樹（田豊)が登場、彼は「寒星」という名剣を持つが、刀の名匠から「寒星剣は危険な剣であり、手元に置けばあなたは必ずこの剣で死ぬ」と予言する。という、名剣を巡る剣士たちの物語である。

主人公の若き剣士、李寞然を演じたのは、鄭少秋（アダム・チェン）。李は花千樹と闘うために彼の居所を探している。

花千樹がいるらしき場所を突き止めるが、そこには花千樹と闘うため12年間も待ち続け、気が狂ってしまった剣士(劉兆銘)がいた。

李は道中、敵に追われる少女、花盈之(徐杰)を助ける。

李はその後、かつての恋人であった言小語(陳琪琪)に出会う。彼女が意に沿わない結婚をした相手が

徐少強が演じる連環で、彼も寒星剣を狙っている。

彼の部下で李の命を執拗に狙う剣士に高雄。

負傷した李を救う鉉姬 (魏秋樺)は、李が出会った少女が敵に捕らわれているため、花千樹のもう1つの名剣(斉王)を差し出し、彼女を救ってほしいと頼む。実は、鉉姬は花千樹の腹心であり、少女は花千樹の娘であった。

主役の鄭少秋は、少女を捕らえた李海生と闘い、

田豊と闘い、

高雄と闘い

ラストでは徐少強と闘う。ついでにこの映画の主題歌まで歌う活躍ぶりである。

アクションはワイヤーの多用でアクロバティックな雰囲気が気になるものの、見せ場は少なくない。ただ、空中戦が多いのは何とかならんかな。

何ともなりませんってか。

鄭少秋と徐杰のコンビネーションはなかなかよくて、ラストまでいい感じで見せるが、残念ながら彼女自身のアクションの見せ場はほとんどない。

全編を通して悲しい旋律の音楽が流れ、結ばれなかった恋の相手とのシーンを盛り上げる。陳琪琪は終始沈んだ表情で演じ、悲劇のヒロインのような扱いだが、

主人公が手を焼く徐杰だって父を殺されるし、

魏秋樺に至っては自決するんである。それもあってか、アクションシーンもそれなりにあるのだが、メロドラマ的な雰囲気が作品全体を支配している印象だ。それを哀しい音楽がさらに盛り上げるものだから、本当に暗い作品になってます。

まあ、前回、タイ製のチャーリーズ・エンジェルもどきの明るい作品を紹介したばかりだから、たまにはこういうのもいいか。