今日ご紹介するのは、「殺人ブルドーザー」(1974年、KILLDOZER)です。映画館で上映された作品ではなく、TVムービーで、私も高校生の時にTVで観て、懐かしくてウン十年ぶりにDVDで観ました。監督は、「バイオニック・ジェミー」、「将軍　SHOGUN」、「警察署長」などTV作品を多く手掛けているジェリー・ロンドン。

ユニバーサル映画のタイトルバックの延長のような冒頭は、宇宙から隕石が地球に向かって飛来するシーンだ。

隕石が落ちたのは大西洋の孤島。そこでは土地開発で6人の作業員が整地作業に追われていた。そのリーダーにクリント・ウォーカー。

整地作業に支障をきたした不気味な隕石。この隕石に宿る青く光る未知の生命体がブルトーザーと接触して乗り移り、無人のブルドーザーが殺人マシンと化す、という、何とも荒唐無稽なお話だが、この時代のTVMのファンにはたまらないですね。

TVMならではの74分という短い時間で、登場人物も6人だけだ。最後まで生き残るカール・ベッツは、日本ではあまり馴染みのないベテラン俳優。

ネヴィル・ブランドが出ているのもいい。

ジェームス・A・ワトソン・Jr.、

ジェームス・ウェインライトは、字幕ではゲスト出演扱いで、出番も多い。

ロバート・ユーリックは、ダーティハリー2の若い巡査役で注目されたばかりの新人ということもあってか最初に死んでしまうのだが、その後、TVシリーズのベガスや私立探偵スペンサーで主演するなど、クリント・ウォーカーを除く出演陣では最も活躍した俳優と言ってもいいかもしれない。

無人ブルドーザーが次々と人を襲って殺す、という設定は面白いが、高校生当時のあのワクワク感が今得られないのは、70年代のTVMのノンビリした場面展開もあるだろう。最近のスピーディな画面切り替えや展開の作品に慣れてしまうと、こんなまったりした雰囲気で最後まで緊張感を持続させるのは難しいなと思うが、いやはや、そんな時代だったんですね。

ブルドーザーとショベルカーの対決シーンなども、当時はちっとも陳腐に感じなかったなぁ。ギル・メレが音楽を担当していることもDVD購入の大きなポイントになった。

主演がクリント・ウォーカーだというところが何とも締まらない感じでむしろ素敵だと思うが、ちょっとググってみると、本作は有名なカルトクラシック作品として位置づけられているようで、「おいおい。カルトクラシックって一体…」と驚いてしまった。当時、本国では酷評も多かったようだが、それでもコアなファンが支持してくれて奇跡的にDVD化も実現したわけである。大変喜ばしいことであり、この手の作品を今の時代でも支持してくれる方たちがいらっしゃることに感謝したい。

映画に夢中だった70年代の作品を40～50年ぶりに観ると、当時観た印象とは随分違うことも少なくない。自分が齢を取った証拠なのだが、あの当時より分別のある大人になったせいなのか、若さや感性が失われたのか、観るたびに、懐かしさだけでなく何とも言えない複雑な思いもあります。