今日は、“つまらないと分かっているのについ観てしまい、やっぱりつまらなかった”特集です。ていうか、このブログはそんな作品がほとんどでしょ。アル・ブラッドレイ監督の「アマゾネス対ドラゴン 世紀の激突」(1974年、AMAZONS AND SUPERMEN、イタリア/香港合作)である。この前年にテレンス・ヤング監督の「アマゾネス」という映画が公開され、非常に話題になった。当時中学生だった私だが、学校の友だちとの会話に出てくるのはブルース・リーがダントツ1位、2位はこの「アマゾネス」だった、かどうかは別として、ブルース・リーの強靭な肉体にもアマゾネス軍団の肉体にも魅力を感じた中学生時代が懐かしいなぁ。

 

大柄で肉体を売りにした女優が暴れまわる本家アマゾネスと見かけは同じだが、ストーリーは、アマゾネス軍団の襲撃に苦しむ村人たちに、3人の勇者が戦闘指導や支援をして村を守る、という「七人の侍」のパクリのような映画である。

 

近隣の村から農作物を取り上げ苛酷な税を課して村人たちを苦しめるアマゾネス。彼女たち同士の戦いにより、新しい女王が決定する。

 

新女王(右端、ジェニイ・ウッズ?)が天然パーマで黒髪というのがなんともパッとしない。左端は祈祷師。

 

村人たちが崇拝するのは、永遠の炎を400年間絶やさないでいる不死身の英雄ダーマで、村人たちは村の守護神として食物を捧げている。

 


といっても不死身のはずのダーマ(アルド・バフィ・ランディ)はアマゾネスにやられて死んじゃう。弟子のアロ(アルド・カンティ、ニック・ジョーダン)がその役を受け継ぐのだが、この2人、オリンピックで軽く優勝できる並外れた走力・跳躍力・体力の持ち主で、それゆえ原題が「アマゾンズ対スーパーマン」というわけだ。邦題の「ドラゴン」という言葉は出てこず、ブルース・リーブームにあやかったひどいタイトルなんだけど、

アロと一緒に村を守る仲間に加わるチャン役で、岳華(ユエ・ホア)が登場するではないか。

 

戦う相手が武術を使えないためアクションシーンは盛り上がりに欠けるが、本作は一応、イタリア・香港の合作ということで、こういうメジャーな俳優の配役は功夫映画ファンには嬉しい限りだ。

 

もう1人、葉靈芝(カレン・イップ)も登場するぞ。

 

香港では「三超人與女霸王」のタイトルで1975年に公開されたようである。

 

アマゾネスと戦う3人の勇者の最後の1人はムーグという怪力の大男(マーク・ハンニバル)。

 

「七人の侍」や「荒野の七人」同様、クライマックスは大勢で村を襲ってくるアマゾネスと村人たちとの集団戦となるが、そこは乏しい演出力しかないイタリアB級パチモン映画。臨場感も緊迫感も欠如した安っぽいシーンが繰り広げられる。

 

手製の爆弾のほか、手作り感満載の木製の火炎放射戦車のようなものが出てくるが、これ、中に村人が何人もいて担いで歩いている。では、アクションがダメならお色気で勝負するのかと思いきや、

 

一切お○ぱいシーンは出てこず、水浴びシーンが最も過激なシーン、というほどだ。

 

演じたのは、アマゾネス軍団から村人側に寝返るミラ役のマリサ・ロンゴ。

 

安っぽくて見せ場のないシーンだらけの1時間半だが、意外にストーリーはしっかりしている。ただ、面白くないだけなんです。とにかく面白くない。だから、「うわっ、観て損したよ」とか「損した気持ちになるなら最初から見なければよかった」という人の気持ちは分からんでもないが、そんなこと言ってたら、私など映画を見て損してばかりの人生みたいに聞こえるじゃん。そんなことないですよ、「むしろ自分の人生を豊かにする映画ばかり観ているし…」と思っています。ウソウソ。

 

音楽はパクリ映画では安定の仕事をする(?)フランコ・ミカリッツィ。緊迫感が皆無の映画なのにさらに脱力感を与える音楽が素晴らしい。もう遊んでいるとしか思えないのがこの頃のイタリアカス映画の音楽の特徴だけど、こんな映画のサントラを紹介するska-n-tasticさんの変態ブログはこちら。しかし、上の画像のようなシーンもイタリア映画らしいけど、兵華だけ水牛にまたがっているというのが面白い。