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今日ご紹介するのは、「日本の悲劇」である。今夏公開される予定の同名の映画とは無関係。こちらは、木下恵介監督・脚本による1953年の作品だ。ちなみに、私の持っているのは中国盤。こういう作品が海外でもDVDで見られているんだなぁ。



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望月優子が熱演する主人公は、熱海の旅館に女中として働く戦争未亡人の春子で、二児を抱えて生活するために闇米を扱ったり、かつぎ屋から男に媚びる生活までを強いられた苦労人だ。子供たちの幸せのためだけを考えて懸命に働いてきたが、



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洋裁学校と英語塾に通わせてもらっている姉の歌子(桂木洋子)も、医科大学に通う身分の清一(田浦正巳)も、そんな母親を汚らわしく思っていて、冷たくあしらい、ことごとく反発する。



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歌子に恋心を抱く英語塾の教師(上原謙)と、彼を嫌う妻と子との関係も描かれる。



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歌子の家に乗り込んでくる妻(高杉早苗)の激しい嫉妬を鼻で笑って躱し、好きでもないその塾教師と駆け落ちするあたりの描き方は容赦なく怖い。



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長男は彼を養子にと望んだ資産家の医師の家で暮らし始め、母親はショックを受ける。彼女の忠告をいつも煙たがっていた気の荒い板前(高橋貞二)の存在もいい。



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流しのお兄さんに佐田啓二。



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このほか、柳永二郎、須賀不二男、多々良純、日守新一、北林谷栄、淡路恵子など。



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新聞やニュース映像などを挿入し、ドキュメンタリーも意識しているが、実に暗くて後味の悪い映画であると同時に、当時の日本のありのままの姿が伝わってくる意欲作にして衝撃作と言えるだろう。ラストシーンは、こういう形でしか物語を終えることができないのだろうな、と考えると、なんともやりきれない一作だ。



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