今日の映画は、先日テレビ東京でやっていた、フランソワ・デュペイロン監督のフランス映画、「イブラヒムおじさんとコーランの花たち」(2003年)である。


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1960年代のパリを舞台に、13歳のユダヤ人少年モモ(ピエール・ブーランジェ)と、食料品店を営むトルコ移民の老人イブラヒム(オマー・シャリフ)の交流を描いたドラマだ。この2人の好演で、とても印象深い映画となった。


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生まれてすぐ兄のポポルを連れて母親が家を出てしまったため、母親の顔も知らないモモは、同居する父親から常に兄と比較され、小言を言われる日々だ。そんな父親に対し、家計費をごまかしたり、キャットフードを食べさせたりする少年らしいささやかな反抗を試みるも、失業した父親は少年を置いたまま蒸発してしまう。


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アパートの目の前のブルー通りは、いわゆる娼婦街。16歳だと年齢を偽って一人前の男にしてもらい、父親が家を出た後は本を売っては彼女たちを買う。


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一方で、アパートの1Fの少女への恋心も描かれる。



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人種を越えて親子のような関係になった2人。イブラヒムの故郷トルコへと2人が旅立ってからは、がらりと作風も異なる。多少ストーリー展開に強引さはあるものの、不思議な雰囲気を湛えた作品だ。



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彼らの住む通りに映画の撮影隊がやって来るシーンがある。食料品店に水を買いに立ち寄る女優がイザベル・アジャーニだとはすぐには気付かなかった。



文盲のイブラヒム老人がモモにコーランを貸し与えるシーンがあるが、イブラヒムや娼婦たちは、モモにとって実の親代わりであり、人生の教師でもある。彼らと少年との関係が何とも言えないムードを醸し出す一作である。