今日の映画は、森一生監督の「眠狂四郎 円月殺法」(1969年)である。このブログでは、市川雷蔵主演の眠狂四郎全15作をすでに紹介済みだが、雷蔵亡き後、松方弘樹が主演を受け継いで2作品作られているんである。当初から2作だけの予定だったのか、評判が今ひとつだったから2作で終わったのか、私は知りません。


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松方弘樹の眠狂四郎。彼が役者として問題があるわけでは決してないのだろうが、何といっても「暗さ」、「はかなさ」がない。暗い過去を持つ陰のある孤独な人物を見事に演じていた雷蔵のイメージが強すぎるんだから、誰が演じても何か違和感を感じるのは、しょうがないことだ。


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徳川家慶の双生児の兄弟(川津祐介 二役)の片割れが、本物の家慶になりすまし、


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その黒幕である大目付の佐野勘十郎(神山繁)らと権力を握ろうとする、その陰謀を狂四郎が暴いていく、というお話である。男優陣では、成田三樹夫、鈴木瑞穂、 伊達岳志(伊達三郎)なども登場する。


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彼らの罠にかかった兄の仇を晴らしてほしい、と狂四郎に懇願する志津に梓英子。この役柄のイメージにぴったりの女優である。


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志津は自害してしまい、「後半は梓英子が出ないのか」と残念に思っているところへ、彼女に瓜二つの村の娘の役で再登場する、というあたりもなかなかいい。


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一番存在感のあるのは、幽閉されている本物の家慶を探している女隠密、おりょうである。狂四郎を助けながら、彼に惹かれていく役だが、これを演じた佐藤友美がなかなかいい雰囲気なんである。


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松方の狂四郎がピンと来ない分、女性陣が活躍して最後まで引き付ける作品になっているのが印象的だ。侍女頭の松浦を演じた長谷川待子の悪女ぶりもなかなかいいし、


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身体を張って狂四郎を殺そうとする中原早苗のお蓮のお色気も凄い。


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狂四郎に「抱いて」と迫りながら、天井から背中にたらした毒液がお○ぱいに回って、狂四郎の口に入る、という仕掛けである。これが雷蔵だったら、もう少し色っぽいシーンになったかなとも思うが、いや、比べちゃいかんな。