明日への遺言 特別版 [DVD]
¥2,170
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今日の映画は、2008年公開の小泉堯史監督作品、「明日への遺言」である。B級戦犯である元東海軍司令官・岡田資中将は、無差別爆撃を行った米軍搭乗員に対して斬首処刑を執行した。1948年に行われた裁判を通じて、敗戦国の扱いや、無差別爆撃を行った戦争犯罪者であると主張しつつ部下を守った誇り高き男を描いたドラマだ。


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ドイツや日本が行った無差別爆撃・殺戮の記録フィルムをうまく整理しながら事件の背景を開設する導入部。竹野内豊のナレーションというのは意外性があったが、なかなかいいと思った。


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この法廷での闘いを「法戦」と名付けて臨んだ岡田中将を演じたのは藤田まこと。B29の搭乗者を捕虜ではなく戦犯として、また、復讐ではなく処罰したのだ、と一貫して主張する。


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すべては司令官である自身の責任であると考え、部下を守り、全面的に責任を負う。死を覚悟しながらも、誇りを持って自分の主張を貫いていく姿には心打たれるものがある。言い逃れや責任逃れしか頭にない今の政治家や官僚たちに、この映画を見せて猛省を促したいところだ。



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ほぼ全編といっていいほどの台詞が多い法廷シーンが続く。にもかかわらず、飽きさせないのは、この法廷シーンに戦争責任や人間の誇りなどすべてを凝縮させているからで、演出や脚本の力量がなければこうはまとまらないであろう。死を覚悟した岡田中将を温かく見守る妻(冨司純子)や家族、結婚を控えた長男を対面させたり孫を抱いたりする弁護士(ロバート・レッサー)の気遣いなども、映画の重要な要素となっている。その他の出演者は蒼井優、田中好子などなど。


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藤田まこと、と言えば、子供の頃、白黒TVで、「あたり前田のクラッカー」でお馴染み、「てなもんや三度笠」を見ていたなあ。クレージーキャッツの映画などにも出ていたので、コメディアンという印象が刷り込まれていたのだが、そのうち必殺シリーズなどの時代劇、はぐれ刑事などの刑事ものの主役も務めるようになって、すっかりベテラン俳優になっちゃったなあ。熱血・頑固という雰囲気がないだけに、この映画でも内に秘めた堅い意志や熱い闘志みたいなものをさりげなく出していて適役なのかな、と思わせた。こういう役の似合う俳優って、さっと思い浮かびませんね。思いつく限りでは故・緒形拳くらいだろうか。