なんかお酒飲みたい気分だと思ったら、もう20時を過ぎているなあ。今日中にまとめねばならない原稿を残しており、迷うところである。記者時代は、私のいた新聞社の社長や編集長などがみんな大酒飲みで、夜遅くまで原稿に取り組んでいる若手記者たちを「おい、飲みに行くぞ。少しくらい飲んだくらいのほうがいい原稿が書けるぞ」と適当なことを言って誘うんである。


締切に追われているので、記者たちはそういう誘いを断り、仕事を続けるのだが、「もう遅いから今日は帰るか」と社を出ると、駅前のおでんの屋台で上司が飲んでいて、「おお、お疲れ様。一杯飲んで行けよ」と結局は巻き込まれる運命にある。上司たちもみんな記者上がりで、本当にタフであった。彼らといると「1日は24時間使うものだ」ということを、しばしば痛感させられたものである。


大酒飲みで思い出すのが、ジョン・ウェインが演じた隻眼の保安官、ルースター・コグバーンである。この保安官と少女の友情を描いた「勇気ある追跡」で、初のアカデミー賞を受賞。1976年の「オレゴン魂」は、このルースターを再び登場させた西部劇である。


オレゴン魂


「オレゴン魂」というタイトルのついたこのチラシを見ると、結構迫力あるアクション西部劇のようだが、そう思って観るとアテが外れる。この映画、当時69歳のジョン・ウェインと、67歳の大女優キャサリン・ヘップバーンとの初共演というのが話題の一つであり、無法者をこの2人が追跡する道中はどちらかというとのんびりしたムードで、アクションそのものよりも、2人の掛け合いのほうが見ものである(DVDでは、2人のセリフの字幕が交互に出るのではなく、一度に表示されるので、読み分けなければならないのが残念)。


まあ、俳優がいいだけでそれなりに見られる、というのもアリではないか。「追憶」や「ミッドウェイ」、「弾丸を噛め」など、70年代に活躍したハリー・ストラドリング Jrのカメラがクリーク峡谷をはじめとするオレゴンの自然を満喫させてくれる。西部劇の雰囲気にたっぷり浸れる一作だ。



私も飲みながら仕事しよう。