17年過ごしたグループを間もなく卒業する柏木由紀と、3月17日より4代目AKB48グループ総監督に就任した倉野尾成美による、最初で最後のメモリアル対談! レジェンドアイドルの金言を胸に、AKB48の新時代を切り開け!
■今のAKB48はマジでかわいい
――柏木さんから見た今のAKB48って?
柏木 めっちゃまとまりある感じがします。レッスンとかを通して、みんなで意見を言い合って、高め合って、ひとつの目標に向かう。令和の体育会系みたいな。圧はなく、みんなで楽しく頑張りたいという感じで、すごくいい環境だなって。
昔は、個々で頑張ればそれがグループの勢いにつながるというところがありましたけど。だからパフォーマンスも、それぞれが競って。
――それこそ柏木さんがウインクを決めるとかも。
柏木 ほかと違うことしないと目立たない時代でしたね。ダンスをそろえてくださいとか、なかったですもん。
――それが変わったのはいつなんですか?
柏木 『根も葉もRumor』(2021年)が分岐点かもしれないです。ロックダンスで、とにかく全員でそろえなきゃいけない。たくさん練習しないとできない曲が来たんですよ。
倉野尾 そこは大きかったと思います。アイドルのダンスのレベルが上がって、K-POPブームが来て、ダンスはそろってるほうがカッコいい、みたいな。
柏木 私、『根も葉もRumor』のレッスン期間は病気でお休みしてたんですよ。戻ってきたらAKB48がめちゃくちゃ変わってた。もし私がいたら、そんなにやらなくてよくない?ってなってたかもしれない。でも空気感が完成してるところに復帰したから、そこになじまざるをえなくて。
でもやったらめっちゃ楽しかった。昔の、自分をどう出すかというのも楽しかったけど、「そろえる」というのは、自分がひとつのピースとしてはまるというか、いないと成立しないから、自分の存在や役割をちゃんと感じられてうれしいんですよ。
たぶん、今のAKB48は個を出すより、集団を見せたほうが届くものがあるんじゃないかと(運営が)判断したんじゃないですか? そういう意味では最新シングルの『カラコンウインク』は中間ぐらい。
私が最後というのもあって、曲は誰もがAKB48ってわかる、ダンスで個性を出せるけど、そろうところもあってけっこう難しい。グループの昔と今をミックスした、最高の曲と振り付けとMVが仕上がりました。これを見たら今のAKB48のやりたいことが伝わります!
――今のAKB48の良さってなんでしょう?
柏木 今のご時世にこんなこと言うのはなんですけど、まず、顔がマジでかわいいです。ちゃんと見てほしい! 顔! かわいい=アイドルだとは思わないけど、私もパッと見て、「かわいい!!!」って、もうファンみたいな気持ちになれる。
ちょっと前は「面白い」とかでAKB48っぽさを感じたけど、今の若いコは「純粋まっすぐキラキラかわいい」アイドル!
――王道アイドル?
柏木 AKB48ってほかと違うところを走ってきたじゃないですか。1周回ってまた王道に戻った気がする。まっすぐアイドルが好きな人に届いてほしいし、アイドル好きじゃなくても、見てるだけで元気もらえるって思わせてくれるコがいっぱい。
結局アイドルって、明るくて楽しくやってるのが一番いい。だいぶ遠回りしたけど、今のAKB48はそれをやってる感じがあります。だからこのAKB48で卒業できて、私はめっちゃ幸せです。
――倉野尾さんはどう思いますか?
倉野尾 最近は16期生あたりがすごいキてます。劇場公演にいっぱい出て面白さに磨きがかかってきたというか、チーム制度がなくなって、私も初めてちゃんと絡むコだったり、毎公演違う絡みがあったり、すごく楽しいです。
――劇場といえば、先月スタート予定だった秋元康書き下ろしオリジナル公演が無期限延期になっちゃいました。
柏木 それは窓口に言ってください! 誰もわかってない。
――いっそのこと柏木さんがいろんな人を集めてプロデュースするっていうのはどう?
柏木 でも私は秋元信者なんです。秋元先生が作ってくれた劇場公演で今があると思ってるので、まずはみんなにそれを経験してもらいたい。私は当時の公式サイトにあったちっちゃい画面の公演動画を見て、AKB48に入りたいと思ったような古い人間なので(笑)。
――秋元さんに新公演を書いてもらえるよう声を届けたいですね。
柏木・倉野尾 お願いします!!!
柏木 AKB48は秋元先生が書かないと意味がない! それこそコンサートを見に来てもらいたいです。このコにこんな曲を歌わせたいとか、先生の創作意欲をかき立てたい!
倉野尾 頑張んなきゃですね!
■卒業前のさっしーを見て私もやらなきゃって
――柏木さんがAKB48に残した功績ってなんでしょう?
倉野尾 もういくらでもありますよ。アイドルとして残してくださったものもいっぱい。それこそ、私はゆきさんのアイドルらしさをめっちゃ研究して。
柏木 えー。なるちゃんが?
倉野尾 ゆきさんって、ダンスとか歌に「ゆきりんを入れる」んですよ。有名なのだとやっぱりウインクとか。ゆきさんにしかできない個性を持ってるのがすごくうらやましくて。グループだからこそ、個性も出して頑張りたいなって思います。
あとは、違うと思ったことをちゃんと言える。そこにメンバーもたくさん救われました。自分が総監督という立場になったのもあるんですけど、おかしいなとか、こうしたほうがいいんじゃないかとか、意見をちゃんと言える人になりたいです。
――柏木さんは今後のAKB48はどうなってほしい?
柏木 長く続いてほしいというのは本当にあって。私も、卒業したメンバーのためにもいいグループにしようと思ってやってきた部分もあったし、「私ここにいたんだよ」って自慢したくなるような存在であってほしい。
それと私がAKB48で一番好きなのは、いつ見ても仲良く楽しく明るく元気にやってるところ。テレビとかにぱっと出たとき、今日も元気だな、私も頑張ろうとか、見てる人に元気が伝わるような。
私が長くいて唯一変わっていないところはそこかなって。私もそれをすごく大事にしてきたので。これからのAKB48も、元気になる、うるさいなってぐらいみんなが楽しくやってくれてたら、幸せだなって思います。
――今いるメンバーにとって、柏木さんがいなくなることは? 単にベテランが抜けるとは意味が違う?
倉野尾 ゆきさんは一番身近なスーパーアイドルなので。
柏木 なるちゃんは、私のことけっこうアイドルと思ってくれてるよね、運営側じゃなくて。
倉野尾 でもそういうスタッフ的な立ち位置も含めてアイドルって思っちゃうんです。全体を見て発言する姿も、それはそれでプロいなっていうか、めっちゃ面白い。だからまだいてほしいです!
ゆきさんがいないことなかったから......。本当にいなくなったときにすごく寂しくなりそうで、もうすでに思ってるんですけど......。たまにふらっと劇場に来て一曲歌ってほしい!
柏木 私も最後に向けてどんどん手をかけてしまったというか。卒業しちゃうし嫌われてもいいやって、みんなにいろいろ言ったからこそ。
――関係がさらに深くなった。
柏木 さっしー(指原莉乃)が卒業前にそういうことをやってる姿を見て、私もやんなきゃって思ったんですよね。
倉野尾 定期的にくださるアドバイスはもう"お言葉"みたいな。
柏木 うそ! そんな(笑)。
倉野尾 ちゃんとやんなきゃって、みんな引き締まるんです。
柏木 でも「言いたいな」って思うこともあるでしょ? なるちゃんはもう自分にだいぶ余裕あるし、そういうメリハリつけるのも上手だと思うので、できるんじゃない?
倉野尾 いや、みんなで頑張らないとゆきさんにはならないです。みんなで助け合って、一致団結しないと。みんなで手を繋いで一生懸命、全開で頑張ります!