☆日向坂46はがむしゃらに“試練の期間”を乗り越えていく 全国ツアー大千穐楽公演を観て☆ | AKB48G&日向坂46応援ブログ

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 2024年3月のデビュー5周年を目前にした日向坂46にとって、2023年後半はある種の“試練の期間”だったのかもしれない。特に11~12月の彼女たちの活動やまつわるトピックを前に、それをより強く感じたという方も少なくないだろう。夏にはメディアで大活躍を果たした影山優佳、12月にはグループの精神的支柱だった潮紗理菜が相次いで卒業し、同じく12月には四期生の岸帆夏が活動辞退。

 今年4月に発表した9thシングル『One choice』でセンターを務めた丹生明里も、8月末からスタートした全国ツアー『Happy Train Tour 2023』を欠席するなど、コロナ禍が明けた状況ながら決してベストといえる体制ではなかったように映る。そこに来て、2019年から4年連続で出場していた『第74回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)から落選。コロナという誰もが直面した障壁を除けば、2019年2月にけやき坂46から日向坂46へと改名して以降、最大のピンチに陥ったという見方もできるのではないだろうか。

 思えば、けやき坂46時代から彼女たちは常に逆境と真正面から向き合い、毎回その勝負に打ち勝ってきた。持ち曲も少ない中、毎回数々の課題を与えられながら乗り越えた2017年のZeppツアー、グループの存在意義でもあった長濱ねるがけやき坂46から離れたとき(同年9月)、そして突如決定した日本武道館3DAYS公演など……その結果、彼女たちは初の単独アルバム『走り出す瞬間』リリースを実現させ、改名へとつなげていく。今からは想像もできないほどの泥臭さと計り知れないほどの熱と気迫を放ちながら、彼女たちは“無謀な挑戦”に勝ち続けていたのだ。

 そんな日向坂46がこの年末に全力で挑んだのが、四期生によるロングラン公演『新参者 Live at THEATER MILANO-Za』(11月)と、本稿の主軸である『Happy Train Tour 2023』追加公演の大千穐楽(12月10日)だ。筆者はこの2つのライブを通して、今の日向坂46に2017年~2018年初頭のけやき坂46のイメージが重なった。

 『新参者 Live at THEATER MILANO-Za』は、けやき坂46時代を知らない四期生が当時の衣装を着てけやき坂46楽曲をパフォーマンスしたことも大きなトピックだが、四期生だけでこうした追体験を含む10公演を乗り切るという大きな壁は、四期生のパフォーマンス力や表現力の向上のみならず精神面での成長にも直結していた。その姿は、公演ごとに絆を深め自信を付けていった2017年のZeppツアーでの一期生を見ているようでもあった。

 そして、8月末から始まった全国アリーナツアーの千穐楽となる『Happy Train Tour 2023』追加公演は、一期生から四期生までが一丸となって、全力でぶつかっていく熱が2018年初頭の武道館3DAYSとリンクした。潮の卒業と直面し涙に暮れた12月9日公演を経て、新体制で初めて臨む、そして2023年の集大成を見せる場である10日公演は、特にその傾向が強かった……と感じたのは、筆者だけだろうか。

 ツアー本編の福岡公演が10月15日に終了し、約2カ月のブランクを経て開催されたKアリーナ横浜での追加公演。最新シングル『Am I ready?』を携えたツアーだったが、その2カ月の間には2ndアルバム『脈打つ感情』が発売され、同作同梱Blu-rayにはツアー初日の大阪城ホール公演の模様が収録され、追加公演はかなりイレギュラーな形での開催となった。また、毎年この時期には恒例のクリスマスライブ『ひなくり』が行われていたが、今年は『ひなくり』を休止し、その代わりツアー追加公演と実施するというのも新たな形だったと言える。『ひなくり』という形ではなく、ツアーの延長で見せたかったものがこの2公演に詰まっていたということなのだろう。

 実際、オープニングの演出はそこから続くダンストラックこそツアー本編と同じだったものの、1曲目が最新曲「君は0から1になれ」に変更されており、8~10月のツアー本編を観た人でも新たな気持ちで楽しめたのではないだろうか。会場の構造上、フロートを使った演出や客席通路にメンバーが登場する演出こそカットされていたが、「Am I ready?」で上村ひなのが天井の高い巨大アリーナ上空を悠々と回遊する気球演出などは、Kアリーナ横浜という会場ならではの醍醐味を味わえたはずだ。

 また、Kアリーナ横浜公演で特に印象に残ったのが、ツアー本編以上に一期生から四期生までが一丸となっている感が強く伝わる演出、構成だった。ツアー本編や9日公演では四期生のみで披露され、日替わりでセンターを交代したことでも話題になった「期待していない自分」が、10日公演ではけやき坂46時代の衣装を身に纏った一~三期生がパフォーマンスし、途中から四期生も合流。特に、三期生はこれまでこの曲に参加したことがなく、今回先輩と同じ衣装の色違いを着用してこの曲を歌い踊ったことは、彼女たちにとって大きな自信につながっただろうし、ツアー本編や『新参者』でこの曲を四期生のみで守り、最後に先輩たちに加わるという粋な構成も、四期生が「自分たちも日向坂46の一員なんだ」と強く自覚するきっかけになったことだろう。

 

 また、最近は四期生が披露する機会が続いていた「青春の馬」も、久しぶりに小坂菜緒をセンターに据えた一~三期生という構成でパフォーマンス。オリジナル編成に含まれていない髙橋未来虹、森本茉莉、山口陽世がここで初めて同曲に参加したことも感動的だったが、昨年春の『3周年記念MEMORIAL LIVE ~3回目のひな誕祭~』では濱岸ひよりが欠席し、小坂も体調万全といかず代わりに金村美玖がセンターを務めていたこともあり、久しぶりに間奏での小坂と濱岸のペアダンスを目撃し歓喜したおひさま(日向坂46ファン)も少なくなかったはずだ。先の「期待していない自分」同様、この曲にもいずれ四期生が加わるのではないかと想像すると楽しみでならない。

 こうしたちょっとした演出が加わったことで、ツアー本編を観覧していたときに感じた「四期生が加入してそろそろ1年経つんだから、もっと先輩メンバーのパフォーマンスに加わってもいいのでは?」という疑問が少し解消され、大千穐楽で「ツアーを通して四期生が成長し、先輩たちに追いついていく」という物語の続きを見せられたような気もした。

 休養中の丹生に代わり四期生・正源司陽子が「One choice」でセンターを務めたことも、本ツアーにおける忘れてはならないトピックだろう。卒業した影山のポジションには同じく四期生の宮地すみれが立ち、正源司&宮地とオリジナルメンバーの上村がフロントを固めるという、ある種“日向坂46の未来”を予兆させるようなフォーメーションは感慨深いものがあったし、ツアー序盤では緊張からかマイクを持つ手が震えていた正源司も、Kアリーナ横浜公演では堂々とした佇まいでセンターを全うした。ツアーのブランク期間に実施した『新参者』で得た経験と自信が、こういう形でダイレクトに表れたことに対し、興奮を隠せなかったファンも多かったことだろう。

 四期生の必死さ、がむしゃらさがかつての一期生の姿と重なり、新たな時代を築き上げていく。そして、先輩たちはそんな四期生にかつての自分たちの姿を重ねる。そうした相互作用を経て生み出したのが、10日公演のアンコールでキャプテン・佐々木久美の口から告げられた「四期生を含む今のメンバーで、もう一度東京ドームに立つ」という目標だったことは想像に難しくない。最初の大きな目標であった東京ドーム単独公演が2022年春に実現して以降、新たな目標を模索していた彼女たち。最近のインタビューではドームツアーや海外公演を新たな目標として公言するメンバーもいたが、こういう形でファンに直接目標が伝えられたことでメンバーはもちろんのこと、応援するファンも改めて心を1つにして夢へ向かうことができる。いつか来る未来にワクワクできるのではないだろうか。だからこそ、この日ダブルアンコールで久しぶりに「約束の卵 2020」を歌ったメンバーの姿が……三期生や四期生という新たな仲間を加えた編成ながらも、かつてけやき坂46がライブのたびに毎回歌っていた頃の姿と重なった。ライブを見終えたあとの充足感と未来への期待感は、まさしく2018年初頭の武道館3DAYSのそれと同等、いや、もしかしたらそれ以上だったかもしれない。

 メンバー、おひさまが再び心を1つにし、この困難を乗り越えようとしている今の日向坂46の未来は、間違いなく明るいものになる。そう強く実感できた原点回帰のようなステージを経て、2024年は我々にどんなワクワクを届けてくれるのか。彼女たちのさらなる大躍進に期待したい。