それは私が24歳の時だから、今からちょうど10年前だ。



その頃私は兄貴の仕事を手伝っていた。




元々兄貴とは反りが合わず、毎日社長と従業員の関係性で仕事をしていくのがストレスでしょうがなかった。




『俺は、こんな所で収まってる器じゃないんじゃ。

俺は人の上に立って人を動かす側の人間なんじゃ。俺は年に億稼ぐ人間なんじゃ』







と、今思えば非常にゾッとするほどヤバい奴だったと思う。




若さというのは罪なもので、24歳の時に半ばバックれて兄貴の会社を去った。




その時の辞め方は今でも後悔している。




まあ。そんなこんなで私は何を思ったかデリバリーエステというものを開業する。




その頃の私はパチンカスで金なんぞない。むしろ親や友人から借金をしている身分である。




そんな奴がどうやって開業に漕ぎ着ける事ができたかというと、地元の昔から世話になっている先輩に出資をしてもらったのだ。








昔から私は強気なビックマウスを日々響かせて生きている痛い奴だったのだが、この先輩は自分で車屋をやって一財産築いているせいか、私のビックマウスに賭けてみたいと思ってしまったのだと思う。




今思えば私も先輩も一つのターニングポイントであった。