平成16年法改正により職務発明制度が見直されました。
具体的には、原始発明者帰属(特許を受ける権利は発明が生まれた時から従業員等である発明者に帰属)から、原始法人帰属(特許を受ける権利は発明が生まれた時から使用者等である法人に帰属)か原始発明者帰属の選択が可能になりました(特許法35条3項)。
職務発明とは、従業員が会社での職務の範囲内で行った発明をいい、従業員が会社での職務の範囲外で行った発明は、職務発明には含まれません。
会社Xの元従業員Aが会社Yに転職し、会社Yが会社Xの時代にAが発明について「バリ取りホルダー」について特許出願した場合の特許を受ける権利の帰属について争われた「バリ取りホルダー事件」(東京地裁平19年(ワ)第12655 号、知財高裁平成21年(ネ)第10017 号)がありますので、確認してみましょう!
会社Xの就業規則等は以下のようになっています。
就業規則
(発明考案に伴う工業所有権の取扱)
第62条
社員が会社の業務範囲に属する事項について発明、考案した場合は、遅延なく所定の手続きにより所属長に届け出し、その発明、考案が現在又は過去の職務に関するものであると会社が認めた場合は、工業所有権を受ける権利を会社に譲渡しなければならない。これに対する補償、その他の取扱については別に定めるところによる。
社員職務発明考案等取扱細則
(権利の承継)
第5条第1項
業務に関する発明・考案・意匠の創作をなした時は、その発明・考案・意匠の創作に至った行為が会社における現在または過去の職務に属する時はその発明・考案・意匠の創作につき国内及び外国における工業所有権を出願する権利(以下出願権と言う)および工業所有権を受ける権利は、会社がこれを承継する。
東京地裁、知財高裁の判断
特許を受ける権利について、次のように判断されました。
「就業規則62条の文言によれば、従業者等の職務発明について、その届出、Xによる職務関連性の認定、従業者等と X との間の譲渡が必要であるようにも読める。・・・(略)・・・細則5条1 項により、「発明・考案・意 匠の創作をなした時」、すなわち、発明等の完成時に、「工業所有権を受ける権利は、会社がこれを承継する」から、本件特許を受ける権利についても、平成 15 年 8 月 23 日の本件発明の完成と同時に、何らの格別の譲渡行為を要せずして、Xに承継されたものと認めることが相当である。」
<教訓>
本事件の場合、細則5条1項で「業務に関する発明・考案・意匠の創作をなした時」と発明完成時を規定していますので、裁判所で原始法人帰属と認められたものと思います。
「業務範囲に属する発明の特許を受ける権利は会社が承継する。」のようにいつ承継するかを明記していない職務発明規定は、原始発明者帰属と原始法人帰属のどちらを規定したものかが不明確となり、特許を受ける権利の二重譲渡が発生し、先に出願した会社に権利を主張されるという問題が発生し得ます。
帰属について争いの元になる可能性がありますので、自社の規定がどうなっていか見直した方がよいかと思います。
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