「牙狼~GARO~」だけでなく、東宝の「超星神シリーズ(グランセイザー・ジャスティライザー・セイザーX)」、松竹の「リュウケンドー」にも、(「仮面ライダークウガ」からしてそうだった)企画時に声を掛けられ、脚本家や監督などをご紹介して「僕も監督やってるんでぜひ」等と言うのだけど、結局1度もお声がけがあったことはない。監督としての実力がないからなのは自明の理だけど、「畑澤作品になってしまうから」というのが、何故かいつも言われる事だった。

「超星神シリーズ」の時は会社として「アクションプロデュース」(アクションプレイヤーが多いのでその交通整理をする役みたいなもの)として関わらせては頂いた。

その関係で川北紘一監督と知り合い、なぜかしょっちゅう食事やらに誘ってもらった。監督はいつも「お前はいいなぁー」と言ってた。何がいいのか今も分からないけど。

「ゴジラ」の話より「ウルトラマンA」や「流星人間ゾーン」の話をよく聞かせてもらった。それで興味を持ち(当時観てなかった)「ゾーン」のDVDを買いそろえたぐらい。

そして、川北紘一監督と、人生初、おそらく唯一の特撮作品(のパイロットフィルム)を作った。

藤原不比等を題材にした日本神話ファンタジーを、操演特撮を駆使した「人形劇」でやる!という恐るべき企画のためのパイロット映像だった。実際10分足らずではあるけど、数々の「ゴジラ」映画が撮られた東宝のスタジオに大沢哲三さんによる大ミニチュア(?)セットが組まれ、操演の大怪獣も出てくる大特撮絵巻が出来た。操演による人形が主役だから本編=特撮の100%川北監督作品である。

今でもこれの企画や制作、撮影が人生で一番楽しかったかもしれないと思う。

周知の通り、この企画は実現せず、この時の川北監督の執念?は後になって「kawaii‼ジェニー」というジェニーちゃんが主役の人形劇特撮番組として結実(?)するが、それには僕は関わっていません(何度も撮影には呼んでもらった。川北監督が本当に楽しそうだった)。

 

川北監督の早すぎる逝去を知ったのはその数年後。中国にいた頃だった。

知ったのが既にいろいろ終わってしまっていた後で、ちゃんとお別れも出来なかった。

僕が次項の「時空警察ヴェッカーシグナ」の撮影終了直後、入院した時に、いの一番にお見舞いに来てくださったのが川北監督だった。相変わらず「お前はいいなぁー」と言われながら(入院してるのに)。「お前は何もかも自分でしょいこもうとするからだよ。もっと楽しろよ」とも言ってくださった。「あんたに言われたくないよ」と思いながら、その優しい口調に胸が詰まった。「またなんかあったら呼んでくれよ!」と病室を去っていく背中が僕が見た最後になった。

この後、生涯の師である平山亨氏も、最近ではあるが師の師である渡辺亮徳氏も鬼籍に入られてしまった。

時々夢に見て「そろそろ、そちらの方(平山さんや川北監督が居られる方)が愉しそうだなぁ」と思ってしまう。