バンダイ(他の玩具メーカーにも)には「ブレーン会社」と呼ばれる企画会社があり、玩具デザインやパッケージ等を手掛けている。僕が(平山亨氏に保証人になってもらい)10年お世話になったのもそういう会社の一つだった。在籍期間、バンダイの本命の「特撮ヒーロー番組」に関わる事はついぞなく、主に「ガンダム」シリーズ(主にSDガンダム。「プラモウォーズ」」という漫画の原作も担当した)、「セーラームーン」シリーズに(玩具企画という立場で)関わった。何期目かの「ゲゲゲの鬼太郎」の企画書も書いた(絵まで描いた)。大人気となった「セーラームーン」の後番組を企画しろ、という事で、いくつもいくつもいくついくつも企画書を書いた。そのうちのひとつが、数人のヒロインがいるのではなく、一人が何パターンもの衣装に変身する、というものだったが、結局オリジナルにはならず、永井豪先生の「キューティーハニーF」になった。

「サムライオン」が実現せず、消沈していたが、一応それなりに働いたからか、円谷粲さんが「はたやん(と呼ばれていた)のオリジナルをやろうよ」と言ってくれた。その頃ティム・バートンの「バットマン」が好きだったのでダークヒーローにしようと企み、平山亨氏が大量に残した企画メモの中から「仮面天使」というのを見つけ出し、これを参考に「普段は冴えないお父さんで夜は謎の仮面のヒーロー」というのを企画した。それはそれでいいが「エコエコアザラク」」以来、美少女路線が続いているので、女の子(アイドル)を主役にしたいと仰る。そこで「セーラームーン」の企画で鍛えられたヒロイン物の要素も足して、娘もヒーロー→少女がヒーロー・親もヒーローとなり、史上初の「親娘ヒーロー」として「仮面天使ロゼッタ」誕生した。円谷映像得意のホラー路線も入れつつ(ホラーは低予算で高品質に見せるのに有効)、バットマンの如く漆黒だったヒーロー。ヒロインのデザインを真っ白に塗り替え、アイドルが演じる白い深夜のヒロイン…のシリーズの幕が開くのである。

まだ30歳そこそこでテレビドラマのプロデューサーなんか、もちろんやったことがない。平山さんに「何をすればいいですか?」と聞くと「何もかもだよ!」と言われ、企画書からプロット作成、脚本打ち合わせ、ラフデザイン、造形や毎回の撮影、仕上げにもすべて立ち会った。何故か平山亨の運転する(!)車で、あらゆる現場に走った。役に立ったかどうかは分からないけど。↓は製作発表撮影会の写真。主演の吉井怜さんが来ているのは衣装ではなく、自前の制服。