一水会講演録その5 | 丸山和也 オフィシャルブログ「みんなで創ろう感動と挑戦」Powered by Ameba

一水会講演録その5

 歴史をきちんと認識しない国には未来はない

 現在進行形で起きている歴史問題を紹介しておきます。それは戦時中における朝鮮半島の民間人の徴用問題で、韓国内で数年前から裁判が起こされている件です。韓国では戦時中、二十三万人が日本企業に徴用されたとされ、生き残った徴用工とその遺族が、三菱重工、新日鐵住金等五社を相手に損害賠償を求めています。
 一九六五(昭和四十)年の日韓請求権協定では、「財産・請求権の問題は協定により完全かつ最終的に解決済み」とされており、従来同種の損害賠償請求訴訟は、その都度日本でも韓国でも「解決済み」として却下されていました。韓国政府の立場も同じです。
 ところが、数年前―李明博政権の頃から―「賠償請求は有効だ」という判決が相次いでいます。地裁が却下しても、高裁が差し戻して請求権を認める判決を出してしまうのです。
 大法院(最高裁)ではまだ結論は出ていませんが、流れから言えば請求権有効の判決が出るでしょう。「反人道的不法行為」「植民地支配と直結した不法行為」は日韓請求権協定の範囲外だと後から取って付けた理屈で請求権を有効としようとしているのです。
しかし、これは明らかに日韓請求権協定に違背しており、これを破棄するというのでは国際法に違反するのみか大変な政治問題です。韓国政府も慎重になるしかない立場にありますが、日本とは逆に、韓国では司法が政治に介入する事態になりつつあります。これは司法の暴走ですが、韓国政府にはこれを止める力はありません。
 韓国には憲法裁判所という、憲法問題を独自に扱う裁判所があります。憲法裁判所が「植民地時代の被害救済について、政府は義務を尽くしてない」と判決を出して、政府に政治的プレッシャーをかけているのが現実ですらあります。
 かつて、私は「日本人は気概を持つべきだ」と韓国人弁護士から素晴らしい助言を受けましたが、残念ながら現代の韓国は心性を失っていると思います。韓国では過去の歴史問題を利用した反日本的運動が盛んになり、かつて植民地時代に日本統治に協力した人々を罪に問うという「親日反民族特別法」という法まで制定されました。何故今になってそんな法ができるのか―あまりにも無茶苦茶です。
 日本の朝鮮統治―これは欧米列強の植民地統治と比べれば、比較にならない位韓国の社会、インフラ整備に寄与していた事は明らかだと言えます。それは日本国民の税金で賄っていました(一説では当時の朝鮮の国家予算の七割に相当したとも)。植民地支配は否定できませんが、決して欧米の植民地支配に見られる様な収奪、搾取一辺倒でなく、その国の発展、近代化に大きく寄与したことも忘れてはなりません。
 もっともこれら正しい歴史は説明されていません。日本人は説明下手であり、弁解をすべきでないと思っている。また、弁解すればすかさず「もっと反省しろ」と言われて口を噤んでしまう。しかし、もっときちんと「弁解」を重ねてゆかなければいけないと思います。正しい歴史を教える為にも、もっと緻密な、良い説明をする義務があると思います。「歴史をきちんと認識しない国には未来はない」―同じ言葉を私からも韓国に返したいと思います。
 最後に「誇り高い気概を失っては民族も国家も個人もない」ということを根底に据えて、一水会が発展することを願っています。