地元から遠く離れた高校に行った。勿論、知り合いは誰もいない。

高校に入学しても友達は居なかったが3ヶ月ぐらいは何事も無く。

悪夢は突然。

私の隣町の中学に通っていた奴と知り合いになってしまった。田舎なので、私の中学と隣町の中学も行く高校はほとんど一緒。

嫌な予感がした。

ある時、その人が『F君知ってる?(私の元中学のやつの名前)』と聞いてきた。

知らないとも言えないので適当な返事をした。

次の日、登校するとクラスがざわざわしてた。

やがて昼飯の時間になり、今まで席が近いというだけのグループに私は混ざって食べていたのだが、そのグループ全員が弁当を持ってクラスから出て行った。その日1人で弁当を食べた。中学以来のぼっち飯は味気なかった。

休み時間は、いつも寝たふりで過ごしていたのだが、その日はペットボトルが飛んできた。私に当たらなかったので、私はそのまま気づかないふりをした。怖かった。

クラスの女子達が『あいつ、盗人なんでしょ?』みたいな事を話しているのが聞こえた。(もちろん私は盗人ではなく濡れ衣を着させられた。詳しくは冤罪の中学時代を読んで下さい。)

私はいつかこういう日が来るだろうと思っていた。来るのが早かった。

中学と同じ辛い高校生活が始まった。

無視と悪口とペットボトル、それが私の高校生活の全てだった。

悔しい。私じゃないのに。盗人という濡れ衣はこれからも私を苦しめるのだろうかと思うと全てがどうでもよくなった。

それからしてまもなく私はその高校を辞めて通信制の高校に入った。

通信制の高校は何も無かった。

悪い事も無かったが良い事も全く無かった。

私の高校時代はそうして空っぽになった。

私も空っぽだった。

良いことは思い出したい。
辛いことは思い出したくない。
空っぽは思い出せない。