安楽智大投手(27)が後輩選手に関するパワハラで楽天を自由契約となりました。まぁわかりやすく言えばクビになったということですね。

写真は東スポWEBより。



各紙の報道によると

・球場内のロッカールームで後輩選手に倒立を強要し、下半身を露出され、陰部に靴下をかぶせる

・指導と称して「アホ」「バカ」などの暴言や人格を否定する発言

・キャンプ中に後輩選手に平手打ちをしてむち打ちの症状にさせた

・食事の誘いを断った選手に対し、その日の深夜に執拗に電話やLINEを何度も繰り返す

・「罰金」という名目で、一部選手に対して金銭の支払いを強要



平手打ちはなかったとしていましたが、球団でもこれら一連の報道を「ほぼ事実」と認め、安楽は11月30日に楽天を自由契約となって退団が決まりました…なんとも情けない。これでも明るみになったほんの一部かもしれませんが、とにかくプロ野球選手として恥ずかしいというか、1人の人間としてカッコ悪いとしか思えません。



安楽が済美高校3年生だった2014年8月には、野球部の2年生が1年生に「カメムシを食べろ」と口の中へ入れたり、灯油を飲まされそうになるなどのいじめ被害が発覚したこともありましたよね。当時主将だった安楽は関与はなかったとされていますが、今回の報道を聞いた感じだと、やはり関与していたんじゃないかと勘繰りたくもなりますね。仮に関与していなかったとしても、この時、済美高校は1年間の対外試合禁止という重い処分が課せられています。対外禁止処分としては1年間は最も長い期間。主将としてこんな経験をしていながら、何も教訓は得られていなかったのかもしれません。



おそらく本人の中ではパワハラなんて意識はなく、当たり前のことだったんでしょうね。済美高校も厳しい上下関係は当たり前で、年上の人間には媚びて、年下には嫌なことも当然の如く強要…いわゆる体育会系に見られる縦社会をそのままプロに入ってからも続けてきた結果かもしれません。何より安楽のパワハラについてチームメイトから擁護する人が皆無というのが、今までの接し方に問題があったのかと思えてしまいます。



私は小学生の頃はバレーボール部、中学生の頃はテニス部に所属していましたが、幸いにも先輩後輩はそこまで厳しくはなく、楽しく部活していました。部内でのイジメなんてのはありませんでしたね。高校は制服もなく、校風自体が自由だったということもありますが、先輩後輩関係も厳しくはなかったです。ただ他の学校の話などを聞くと、先輩の命令は絶対だったり、学食は1年生は利用できないなどの意味不明なルールがあるところもあったとか。私がいた高校なんかは入学した数日後には学食で普通に昼食してたので、驚かれたことがあります。私からすれば学食を使えないことの方が遥かに驚きましたが。



今回のパワハラは、ビッグモーターや宝塚歌劇団の一連の問題と同じようなことなんでしょうね。当事者は上の立場として、反論出来ないような立場が下の人間に当たり前に理不尽なことを強要させる…被害を受けた人からの申し出によって今回は明るみに出ましたが、実際にはこれまでも何度も当たり前に繰り返されてきたのかもしれません。



一昔前なら先輩から叩かれたり罵声を浴びたりしても、厳しい指導の一環として認識されていたのかもしれません。ただ今の時代だからダメというわけではなく、当時だってダメですよね。よく聞くのが高校野球の名門だったPL学園では、3年生の下に新入生である1年生が1人ずつ付いて、付き人のように絶対服従するという伝統があったみたいです。「3年神様、2年平民、1年奴隷」という不文律が出来上がっていたため、PL学園では3年生が機嫌を損ねないよう、快適に過ごせるために動くことが第一で、1年生は練習がまともにできなかったとか。PL学園OBのプロ野球選手がテレビなどでよく話していますが、みんな口を揃えて「あの頃には戻りたくない」と言ってました。ちなみにこれを反面教師にしたのか、大阪桐蔭はPL学園の1年間を練習に充てれば強くなると思い、上下関係は緩めにしたとか。ただ全寮制で基本的に外出もスマホも禁止で楽しみは1ヶ月に1度の「コンビニ旅行」。さらに大阪のもう1つの強豪校である履正社は対照的で、寮もなく基本的に自由で生徒の自立を促しているとのこと。まぁこれも数年前に聞いた話なので今は違うのかもしれませんが、現在では大阪桐蔭と履正社が大阪のみならず全国でも屈指の強豪校となり、PL学園では野球部が廃部に…時代の流れに合わせられなかった結果とも言えそうです。



安楽については、高校野球ではトップクラスの評価を受けてプロ野球選手となったこともあってか、プロ入りしてからもそんな感じの「お山の大将」的なイメージで何年も来ていたのかもしれません。普通に考えたらプロになれば1人1人がそれぞれ活躍し、次の年の契約を勝ち取るために実績を残すという厳しい世界なのに、プロ入りしてから9年目の27歳になってからも、いつまでも高校時代のノリが続いていたのかと思えます。圧倒的な実績で結果を残してきた高校時代なら、どんなに横暴な態度だったとしても後輩は仕方なく従わざるを得なかったんでしょうが、プロ入りしてからもその感覚は変わらなかったんでしょうね。チームに後輩が入れば、勝手に自分の立場を上に感じてしまって、見下していたのかもしれません。慕われていると思っていたのは自分だけで、不満を感じているとは思いもしなかった…その結果、複数の後輩選手からパワハラを訴えられるという事態になったのかと思います。尊敬される先輩選手という姿を後輩に見せることは出来なかったのかもしれません。



一部週刊誌等での報道では、遠征などに行くたびに宿舎近くで女性に声をかけ、嫌がって逃げ回る女性を付け回したり、インスタで可愛い女の子を探してはDMを送りつけ「オレ、安楽だよ、知ってる?」「甲子園に出てたんだ」などと口説いたりしていたとも書かれていました。私生活でもだらしなさを露呈している印象です。全てが事実ではないのかもしれませんが、尊敬できる先輩には見えませんね。



今後、安楽がどうなるかはわかりませんが、球界に与えた影響は大きいですよね。プロ野球の榊原定征コミッショナー(80)は4日、ハラスメント根絶に関する談話を発表し「今回の楽天球団における事案は、プロ野球選手である前に社会人としても許される行為ではありません」などとコメント。同日に東京都内で開かれたNPBと12球団の実行委員会で、ハラスメント防止の徹底によるコンプライアンスの順守を指示したそうです。また来春のキャンプ期間中には、12球団の一軍、ファームの全選手を対象にキャンプ宿舎でハラスメント防止講習会をNPB主催で実施することも決めました。



楽天でも対応に追われ、森井誠之球団社長(49)は会見で涙の謝罪。球団公式サイトの所属選手一覧からは安楽の名前が消え、オンラインショップからも安楽関連の全商品が削除。10月下旬から発売されていた2024年のカレンダーには安楽の写真も掲載されていたため、販売中止を決定。一部店舗にある在庫も全て回収され、残っている在庫分も今後は販売しないそうです。X(旧Twitter)では三木谷浩史オーナー(58)が被害者やファンに対して謝罪。田中将大投手(35)も「自分もチームの年長者として意識が甘かったと反省しています」などと投稿していました。



今後、安楽が楽天はもちろんのこと、プロ野球界に戻ってくることが出来るかはかなり難しいと思います。ただ今後、このようなことが他のところでも繰り返されないことだけを願いたいですね。