アンドレア・イアンノーネは、2005年からGP参戦を開始して、カタルーニャGPで186戦を迎えたライダー。
個人的に以前から思っていたことだが、A.イアンノーネの走りは、自分自身の限界を超えることが多々あるように思える。
ライダーであるべき以上、自分の限界を超えて新たな走りを探さなくてはならない。これは現役ライダーとして永遠の課題でしょう。
しかし、イアンノーネの場合は、時と場所を選ばずしてその限界を超えることに大きな問題があると思う。
他のライダーを巻き込んでまでしても、限界を超えた走りを試す必要がどこにあるのか疑問が沸いてくるのだ…。
今シーズンは、既に2回に渡り他車を巻き込んで転倒している。
1回目はR2アルゼンチンGPにおいて、最終ラップの最終コーナー手前のコーナー進入で、2位を走っていたチームメイトのA.ドビツィオーゾに追突して両者は共倒れした。その後ドビツィオーゾはバイクを押してチェッカーを受けた。
2回目は前戦のR7カタルーニャGPにおいて、17周目の第10コーナー進入で5番手走行のランキングトップでもあるJ.ロレンソに追突するというものだった。
R3アメリカズGPにおいて、D.ペドロサが7周目の第1コーナー進入のブレーキングミスにより、3番手のドビツィオーゾに追突してしまった。彼はすぐさまドビツィオーゾに近づいて謝り、その後もすぐにピットボックスへ出向き謝罪を行っていた。不可抗力によって起こったことであっても、この行動が本来のスポーツマンでありプロとしてのあり方だと思う。
イアンノーネの場合は、いい訳ばかりでしっかりと謝罪さえ行っておらず、明らかなオーバースピードでの追突が多くプロとしては信じがたい行為。
個人的な見解では、ペドロサの追突とは似て非なるものだと思う。
ただでさえ大きなリスクを伴うモータースポーツにおいて、他人を巻き込む行為は極力避けるべきであり、それがプロであると思う。
仮に彼自身の中で限界ではないと考えていて、常習的にこのような走りを繰り返すのならばプロとしては失格だろう。
5月20日のブログにも書いたが、
イアンノーネは125時代、サンマリノGP(ミサノサーキット)決勝レースの最終ラップの最終コーナー進入で、P.エスパルガロの後方から強引にインへ飛び込み、P.エスパルガロを巻き込んで転倒。バイクはクラッシュパッドの上に乗り上げた。
P.エスパルガロは転倒後に立ち上がり、唖然とした表情でいたところ、A.イアンノーネがP.エスパルガロに近寄り、何と「頭突き」をするという行動をとった。自分からぶつかっておいて「頭突き」とは、前代未聞の行為。当然、レースディレクションよりペナルティーを受けたことは言うまでもない。
来期はスズキと契約を交わしているが、チーム・スズキ・エクスターのチームマネージャーのダビデ・ブリビオは、「アンドレアは成功に飢えた速いライダーです。彼のライディングスタイルは、我々の車両特性に適応できることから、ポジティブなパートナーシップのために希望を与えてくれます。最高峰クラス参戦4年目であることから、彼の経験がチーム全体に利益となるでしょう」と、ライダー選出の理由を説明した。(motogp.comより抜粋)と言っているが、「成功に飢え過ぎている」のも色々と問題がありそうな気がします…。
とブログに書いていたが、やはりまた同じ過ちをを繰り返しているのだ。
イアンノーネは「成功に飢えた」というよりも「成功に飢え過ぎている」という表現の方が合っているようだ。
レース後、ロレンソはインタビューにこう答えている。
「レースは、イアンノーネが今回もミスを犯し、『ゴメン』というところで、エンジンに問題が発生したのか、あのコーナーで何かストレンジなことが起きたのかを質問してきた。信じられない。彼の責任だと考えたけど、あのようなリアクションを起こし、謝らなかった。他のライダーたちに重症を引き起こすかもしれないアクションであり、リスクを理解しないライダーがいる。(motogp.comより抜粋)」と怒りをあらわにしていた。
1994年に私がランキングトップに立っていたアメリカGPにおいて、スタート直後の第1コーナー進入で後続のライダーに追突されてリタイアに終わった経験がある。
そのため、ロレンソの気持ちが痛いほど良く分かる。
しかも追突してきた相手に常習性があるなら、なおさら許しがたい行為だろう。
今回、レースディレクションからどのような裁定が下されるのだろうか。
他のライダーの安全を考えるならば、厳しい制裁が必要なのではないだろうか。
~その2へ続く~