所謂「新型うつ」に関する報道についての公開質問状本文 | 後藤和智事務所OffLine サークルブログ(旧)

後藤和智事務所OffLine サークルブログ(旧)

同人サークル「後藤和智事務所OffLine」のサークルブログは下記に移転しました。>http://kazugoto.hatenablog.com/ 著者サイトはこちら:http://www45.atwiki.jp/kazugoto/ Twitter:@kazugoto 「コミックマーケット88」1日目東「D」25a。

・質問A(共通)

A-1. こちらの記事の想定読者層をご回答ください。

A-2. 貴誌の想定する「新型うつ病」の定義をご回答ください。

A-3. A-1の想定読者層の中に、貴誌が「新型うつ病」と定義する人は含まれているとお考えでしょうか。含まれているとする場合、どのくらいの割合をお考えでしょうか。

A-4. こちらの記事を、貴誌が「新型うつ病」と定義する人が読んだらどのように考える、もしくは行動すると思うかご回答ください。

A-5. こちらの記事を書く上で参考にした文献や資料をできるだけ多くご回答ください。書籍・論文・雑誌の記事のほか、テレビ番組やネットニュースの記事、さらには個人ブログやインターネット掲示板の書き込みでも構いません。

A-6. こちらの記事にはいわゆる「新型うつ病」の「実例」が採り上げられていますが、そのような経路でこちらの「実例」にアプローチしたかご回答ください。「人づてで聞いた」「医者に紹介してもらった」などの大雑把なもので構いません。

A-7. こちらの記事には数名の専門家や識者が登場しますが、どのような判断規準で選定したかご回答ください。選定の規準となった著作や論文などを挙げていただいても構いません。

A-8. 社団法人産業カウンセラー協会の「現代型うつ病」に関する説明(注)によれば、これについて、《実は古くから「ディスチミア親和型」「逃避型うつ病」「アパシー」「退却神経症」「パーソナリティ障害(境界性、自己愛性など)」「甘え、怠け、わがまま、自己中心的な性格の問題」など専門家の間では様々な見方をされてきています》という解説がなされています。いわゆる「新型うつ病」や非定型鬱病に関する過去の議論を参照したことはあるでしょうか。
 (注)http://kokoro.mhlw.go.jp/shien/yougo/term01-02_mental_01_column.html

・質問B(AERA)

 B-1. pp.10-11の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 部長男性が「新型っぽい」と表現した「新型うつ」(「現代型うつ」)は、20~30代の若者に多いとされ、従来型のうつ病と同様、不眠や頭痛、気分が悪くなるなどの症状をきたす一方、常にうつ症状が続くわけではないのが特徴だ。職場を離れると回復し、趣味など好きな対象には積極的になる。うつになった原因は自分ではなく、他人にあると考えるなど「他罰的」な言動も共通するという。一見「怠けている」ともとらえられ、抗うつ剤も効きにくいとされる。
【引用終わり】

 この記述の出典、もしくはこの記述を書く上で参考とした資料をお答えください。示せない場合はその理由をお答えください。

 B-2. p.11の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 今年4月、新型うつを特集したNHKが実施した調査では、新型とみられる社員がいると答えた企業は65%に上るなど、いま職場は新型うつ社員に翻弄されている。
【引用終わり】

 《職場は新型うつ社員に翻弄されている》とありますが、なぜ《翻弄されている》という表現を用いたのでしょうか。

 B-3. p.12とp.13の下記の記述についての質問です。
p.12

【引用はじめ】
 「悪いのは他人」という「他罰性」のほか、「新型うつ」の特徴は、些細なことでの挫折だ。学校の現場では、挫折した教師たちの休職が相次いでいる。
【引用終わり】

p.13

【引用はじめ】
 都教育庁によると、2010年度に精神疾患を理由に休職している教師は519人。08年度の540人をピークに減少傾向ではあるが、毎年500人を超える。
【引用終わり】

 後者について、教師の精神疾患による休職の増加のうち、貴誌の定義する「新型うつ病」によるものの寄与度はどのくらいだと考えておりますか。


 B-4. p.14の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 Aさんのようなタイプは最近「新型うつ」と呼ばれる。従来型のうつ病は、朝起きると気分が落ち込み、食欲や遊ぶ気力などはない。こうしたうつ病とは別の特徴をもつ症状は、「非定型うつ病」として分けて考える。
【引用終わり】

 それでは、なぜこのくだりでは、「非定型うつ病」というれっきとした呼称があるにもかかわらず、あえて「新型うつ」という呼称を用いたのでしょうか。

 B-5. 記事「「なんちゃって鬱」の病巣」に挿入されている、渡部芳徳医師による「各うつ病の特徴」という図について、この図は他の専門家によるレビューを受けたものでしょうか。そうでない場合、なぜ他の専門家にチェックさせなかったのかご回答願います。

 B-6. 「新型うつが日本を蝕む」のリード文には《明らかにこれまでのうつ病とは違う症状だが、職場でも家庭でも、いま日本中で大増殖している》とありますが、その《大増殖》を示す統計的根拠をご教示ください。ある場合は、なぜ示さないのか、ない場合は、なぜないと考えるのか、そしてどのような根拠で《大増殖している》とお書きになったのか、ご回答ください。

・質問B(週刊現代)

 B-1. p.62とp.63の下記の記述についての質問です。
p.62

【引用はじめ】
 仕事となると体調が悪くなるが、遊びなら何の支障もないというのが特徴で、従来のうつ病と異なる症状を示すため「新型」と呼ばれている。
【引用終わり】

p.63

【引用はじめ】
 このように、患者が医師の言葉尻をあげつらうのは珍しいことではない。新型うつの主な特徴として、吉野医師は、①自らうつであることを主張する、②他者非難、他責傾向が強い、③職場復帰を極力後回しにする、といった傾向を指摘するが、患者Bは、まさにこの3つに当てはまっている。
【引用終わり】

 これらのような記述をする際に参考にした文献や資料などをご教示ください。特に後者については、他の人の意見も参考にした上でこのように書いたのでしょうか。資料や根拠が示せない場合は、その理由をお答えください。

 B-2. p.63の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 これにより、やたらとうつに詳しく、診断書目当ての「患者」も増えている。
【引用終わり】

 「増えている」という根拠をお答えください。根拠がない場合、なぜ「増えている」と判断されたのかご回答ください。

 B-3. p.63の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 取材を進めると、こんな事実が明らかになってきた。「新型うつの患者は大企業と公務員に多い」と、専門家たちが口をそろえるのだ。
【引用終わり】

 こちらについて3件質問です。

 甲.《「新型うつの患者は大企業と公務員に多い」》としておりますが、どのような取材を行ってそのような結論に至ったのか、プロセスをご教示ください。

 乙.《専門家たちが口をそろえるのだ》としておりますが、何人の専門家に意見を伺ったのでしょうか。

 丙.このあとこの記事では、就業規則について述べられていますが、就業規則により長期休職ができることがどのように問題なのかご回答ください。

 B-4. p.65の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 追い詰められると普通に働くことができる――病気というにはあまりにも不自然だ。このように、生活保護の不正受給問題と同様、「権利ばかりを主張し、楽して利を取る」という人々が増殖しているという時代背景こそが新型うつの問題ではないだろうか。
【引用終わり】

 こちらに関して2件質問です。

 甲.なぜ唐突に「生活保護の不正受給問題」を持ち出したのでしょうか。ちなみに不正受給をめぐる問題をめぐる報道については、生活保護問題対策全国会議(注1)、反貧困ネットワーク(注2)、自由法曹団(注3)などが報道を批判する声明を出していますが、これらの存在はご存じでしょうか。

 乙.《「権利ばかりを主張し、楽して利を取る」という人々が増殖しているという時代背景》とありますが、《増殖している》というのはどのような根拠から述べているのでしょうか。

(注1)    http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-33.html

(注2)    http://antipoviety-network.org/2012/06/10/バッシングを利用した生活保護制度の改悪を許さ/

(注3)    http://www.jlaf.jp/html/menu2/2012/201206261226575.pdf

 B-6. p.65の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 新型うつが増えている原因は他にもある。一つは、うつ病の診断方法(アメリカの精神医学会が作成した「DSM」というマニュアル)が一般化したことで、誰でも容易にうつ診断が可能になったことと、SSRIという副作用の少ない抗うつ薬が開発され、処方されやすくなったこと。さらに、診療報酬の問題もある。
【引用終わり】

 こちらに関して2件質問です。

 甲.冒頭で「新型うつ」が増えている原因としてDSMが一般化したことを上げていますが、なぜそれが鬱病一般ではなく「新型うつ」が増加した原因と考えるのでしょうか。

 乙.SSRIが鬱病の診断を増やしたという意見は、一般にSSRI原因論として広がっているものですが、それを採択するに至った根拠をご回答ください。

 B-7. p.65の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 近年、こうした新型うつが急増していることについて、従来型うつの経験者はどのように見ているのか。15年前にうつを患った作家の荻野アンナ氏は、自身の経験を振り返ってこう話す。

「私が、親の介護からうつになったときは、眠りが浅くなって体が動かず、目覚めてから立ち上がるのに3時間程かかったこともありました。まだうつの情報は少なく、病気に気づかなくて『自分は怠け者だ』と責めてしまっていたのですが、『薬で調整できる』『医者に行けばいいんだ』ということがわかったときは、それだけで涙が出るくらい嬉しかった。新型うつの患者さんを知らないので、よくわからないですが、若いうちから『ストレスがあったら会社を休めばいい』なんてことに慣れてしまうと、その先、大変ですよね。まぁ、いろんな意味で、皮肉も込めて、いまはいい世の中なんでしょうけど」

 つらいことに直面したら逃げる、自分の利益を最優先する――易きに流れる人々が蔓延してることこそが新型うつの最大の原因であり、問題ではないか。
【引用終わり】

 こちらに関して4件質問です。

 甲.なぜ《従来型うつの経験者》として荻野氏を採用したのでしょうか。また、何人の《従来型うつの経験者》に取材したのでしょうか。

 乙.荻野氏は《新型うつの患者さんを知らないので、よくわからないですが》と述べておられますが、それならなぜ貴誌の言う「新型うつ」を知っている人を採用しなかったのでしょうか。

 丙.荻野氏の発言の中にある《まぁ、いろんな意味で、皮肉も込めて、いまはいい世の中なんでしょうけど》とは、どのような社会状況について述べた言葉なのでしょうか。

 丁.《つらいことに直面したら逃げる、自分の利益を最優先する――易きに流れる人々が蔓延してること》とありますが、その根拠を明示してください。明示できない場合は、なぜ《蔓延してる》と判断されたのでしょうか。

 B-7. 「新型うつ」に関する統計をご教示ください。この記事の中では数値的な情報が示されていませんが、「新型うつ」についての数値的な情報がある場合は、なぜ記事中で示さないのか、ない場合は、なぜないと考えるのか、そしてどのような根拠で増加していると認識したのか、ご回答ください。

・質問B(週刊文春)

 B-1. 連載第1回p.3下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 新型うつとは通称で、正式な病名ではない。だが、従来のうつ病とはあきらかに異なる症状で、いくつか共通した傾向もある。

 第一に、発症する年齢層が20代後半から30代の若い世代に偏っている(従来型うつ病は40、50代に多く発症する)。

 第二に、うつの原因に自分を責めるのではなく、他者を責める「他罰性」が強い(従来型は自分を責めて苦しむことが多い)。

 そして第三が、誰もが抱く疑問で、うつとされつつも、日常生活はさして障害がなく、合コンや海外旅行、コンサートなど自分の好きな活動にも問題なく参加できるという特徴だ。中には、療養中に結婚式を挙げた者もいる。

 会社では憂鬱で仕事はできないが、好きな活動は問題ない。休養中には「休む」以上のアクティビティに邁進する。こうした症状に周囲は困惑どころか、憤慨したりもする。
【引用終わり】

 これらのような記述をする際に参考にした文献や資料などをご教示ください。資料や根拠が示せない場合は、その理由をお答えください。

 B-2. 連載第1回pp.3-4の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 だが、それは「従来型うつ」の話。そんな症状とは一見ほど遠いのが新型うつだ。しかも、その数は驚くべき速さで増えている。

 厚生労働省の統計によれば、うつ病や躁うつ病などの気分障害は1999年の44万人から2008年にはじつに約2.4倍の104万人にまで増加した。

 企業人のうつ治療を多く手がけるメディカルケア虎ノ門の五十嵐良雄院長によれば、この増加分のほとんどが新型うつだという。

「過去のデータから追っていくと、1999年まで気分障害(うつ病、躁うつ病など)には大きな変化はない。ところが、2000年を境に急速に増えた。実感値で言えば、この増えた患者がそのまま新型うつといっていいでしょう」
【引用終わり】

 五十嵐院長は《実感値で言えば、この増えた患者がそのまま新型うつといっていいでしょう》と述べていますが、これについて、他の医師や専門家の意見・研究を参照して、正しいかどうかのチェックを行った上で掲載したものなのでしょうか。そうではない場合、なぜチェックを行わなかったのでしょうか。

 B-3. 連載第1回p.5の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 翌週、同社の人事と打ち合わせの際、郁也の話をしたところ、人事の人間は途端に困惑した表情を浮かべた。診断書を渡した日、郁也はツイッターでこう記していたのだという。

〈診断書ゲット!〉
【引用終わり】

 こちらについて、2012年6月28日 23時頃に「診断書 ゲット site:twitter.com」でgoogle検索をかけましたが、それらしいツイートを確認することはできませんでした。記事にあるような書き込みがあったことを、貴誌は直接確認したのでしょうか。

 B-4. 連載第1回p.7の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 もう1つ新型うつで難しいところは、再発するケースが多いことだ。
【引用終わり】

 従来型の鬱病より《再発するケースが多い》という統計的根拠をご教示ください。示せない場合、なぜ「再発するケースが多い」と判断されたのでしょうか。

 B-6. 連載第2回p.5の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 パナソニック健康保険組合東京健康管理センターの冨高辰一郎医師は著書『なぜうつ病の人が増えたのか』で様々な調査結果から、うつ病患者が増えたのはSSRIが登場したことだとして、こう記している。

〈うつ病患者が増え始めるのはSSRIの発売後である。実際、どの国や時代を調べても、経済の悪化に伴ってうつ病受診者が増えたという論文は見つけられなかった〉

 端的に言えば、効率のよい診断基準と新薬が登場したことで、患者の回転率も上がり→多くの患者を診ることができるようになり→患者数が増えやすくなったということだ。因果関係が逆のように思えるが、そこには先の要因、メディアが加わっている。
【引用終わり】

 第2段落の引用文における議論は、SSRI原因説として一部で広がっている認識ですが、ここに書いてあることを客観的に裏付けるような別の人による論文などを参照されましたか。

 B-7. 連載第3回p.4の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 自傷行為もしたことがあるという彼女は、自分の症状に歯がゆさを覚えつつ、なぜこうした病気になったのか、原因が何なのかを知りたいと願っていた。従来型と同様、「新型うつ」の当事者もまた、その症状、そして世間の見方に懸念を覚えていたのである。

 非定型うつ病、逃避型抑うつ、気分反応性うつ病、未熟型うつ病、現代型うつ病、ディスチミア親和型うつ病、双極性障害2型、適応障害……。

 ほとんどの人にはちんぷんかんぷんな言葉だろう。右に並べたのは、新型うつに関して取材を進める中で「似ている」と指摘されていた病名や症例名だ。いずれも会社での業務は難しいが、私生活や趣味は問題ない若者に顕著といった症状を示すものだった。
【引用終わり】

 こちらの引用文にもある通り、特に若い世代の精神疾患については、《非定型うつ病、逃避型抑うつ、気分反応性うつ病、未熟型うつ病、現代型うつ病、ディスチミア親和型うつ病、双極性障害2型、適応障害》などの様々な議論がなされてきました。ならばなぜこの連載ではあえて「新型うつ」という、他のメディアにおいては「怠け者」などのネガティブなイメージを多く持つ単語を最初から使っていたのでしょうか。

・質問B(週刊東洋経済)

 B-1. p.48の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 勤務中だけうつ状態に陥り、仕事を離れれば普通の生活に戻ることから、「5時までうつ」とさまざまな名称で呼ばれている。産業医、精神科医、産業カウンセラーなどの間で問題視され始めたのは7~8年前ぐらいから。その後、マスコミが取り上げたことで「新型うつ」が一気に知名度を上げた。
【引用終わり】

 《産業医、精神科医、産業カウンセラーなどの間で問題視され始めたのは7~8年前ぐらいから》とありますが、その根拠となるものをご教示ください。

 B-2. p.48の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 上司からの叱責などをきっかけに発症するケースが多く、周囲から“怠け病”としか思えない状況が続く。仕事が終われば、友人との飲み会にも普通に参加できるが、翌朝は起きられずに遅刻。仕事もミスが目立ちはじめ、精神科で診察を受けてうつ病との診断が下り、休職してしまうのが一般的なパターン。

(略)

自分がうつになったのは上司が悪いから、と他人の責任にしがち。休職して迷惑をかけても何とも感じない。状況で変化するので薬の効果も薄い。軽傷だが治癒しにくいため、人事部泣かせの病として注目度が増している。
【引用終わり】

 このような記述をする際に参考にした文献や資料などをご教示ください。特に《上司からの叱責などをきっかけに発症するケースが多く》と《休職して迷惑をかけても何とも感じない。状況で変化するので薬の効果も薄い》に関しては、病者の行為を一方的に非難する記述だと思いますが、こちらについては特に強く根拠の開示を希望いたします。資料や根拠が示せない場合は、その理由をお答えください。

 B-3. p.48の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 (略)日本うつ病学会のホームページは「新型うつについて精神医学的に厳密な定義はなく、その概念も検討されていない」としている。重症化する危険のあるうつ病は提携とされ、これに当てはまらない過食や人間関係による過敏症など特定の症状は非定型とする。数多くある非定型の中に含まれるのが、「新型うつ」であるということなのだろう。
【引用終わり】

 この下りにある通り、日本うつ病学会はいわゆる「新型うつ病」について、明確な定義はないとしております。しかしこの記事の中では、いわゆる「新型うつ病」について、「怠け病」などのネガティブなイメージばかりが並んでおります。それはなぜでしょうか。

 B-4. p.49の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 精神科医で作家の最上悠氏は、「少子化とネット社会の影響があるのは明らかだ」と指摘する。広島大学大学院の山脇成人教授は「(テレビゲームなど)簡単にリセットできるバーチャルな世界と違って、本当の対人関係では、一度けんかをすると、修復作業がすごく必要になる。そういったトレーニングをしていないと、周囲とのコミュニケーションに問題が発生しやすくなる」と話す。
【引用終わり】

 こちらに関して3件質問です。

 甲.この最上・山脇両氏の指摘と、この記事で採り上げられている「新型うつ」との関係はどこにあるのでしょうか。

 乙.最上氏は《少子化とネット社会の影響があるのは明らかだ》と述べておりますが、なぜ「明らかだ」という意見を検証もなく掲載したのでしょうか。

 丙.山脇氏の発言においてはテレビゲームのアナロジーが用いられておりますが、テレビゲームは人間関係の育成に役に立たないという暗黙の前提が置かれているように思えます。このような発言を掲載した理由をお答えください。

 B-6. p.49の下記の記述についての質問です。

【引用はじめ】
 ゆとり教育など競争を回避する社会で育ち、親からあまり怒られたことのない若者が増えている。社会生活のルールや協調性を学機会が減っているのかもしれない。
【引用終わり】

 こちらに関して2件質問です。

 甲.貴誌の考える「ゆとり教育」の定義を教えてください。

 乙.《親からあまり怒られたことのない若者が増えている》とありますが、その客観的な根拠を示してください。示せない場合は、なぜ「増えている」と断ずるのか、その理由をお答えください。

 B-7. p.49のイラストは、これが「新型うつ」の典型例として示しているものでしょうか。層でない場合、このイラストは何を示しているのでしょうか。

 B-8. p.48にといて《リーマンショック以降、20代の若手社員に増えているのが、「新型うつ」「現代型うつ」などと呼ばれる、一般的なうつとは異なるタイプの症状だ》としていますが、それを示す統計的根拠をご教示ください。P.49には「20~30代の不調者が増加している」として、労働行政研究所の調査を採り上げておりますが、そもそもこの統計は、最近3年間のものであり長期的なものではなく、さらにその主要因が「新型うつ」であることを示すものでもありません。「新型うつ」が増加しているという確固たる根拠がある場合は、なぜ記事中で示さないのか、ない場合は、なぜないと考えるのか、そしてどのような根拠で増加していると認識したのか、ご回答ください。