年齢、体重、アルコール摂取などのライフスタイル要因が精子の品質に影響を与える可能性がある | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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アルコールや肥満は精子に対して良くない影響を与えるのではと考えられます。

年齢、体重、アルコール摂取などのライフスタイル要因が精子の品質に影響を与える可能性があるということを証明している論文がありましたので紹介します。

 

この論文は①年齢、②アルコール摂取量、③BMIが精子の質に与える影響を調べています。

これらの組み合わせで調べているところがユニークな内容です。

 

受診した9464人の患者の後ろ向き研究です。

日常のアルコール摂取量のデータは患者から自己報告を受けました。

 

結果:精子のパラメータは、年齢×BMIの相互作用に影響を受け、この組み合わせが精子の品質に対してより強力であることを示しています。

 

精子の形態と精子核の成熟というパラメーターは特に影響を受けやすいようで、これらは3つの協力的な相互作用に影響を受けました。

 

ロジスティック回帰分析では、年齢が最も強い因子であり、9つのパラメータのうち5つに最初に影響を与え、特に精子の運動能、生存能、形態に影響を与え、精子数には影響を与えませんでした。

 

一方、BMIは最初に精子濃度と総精子数に影響を与えました。

多変量解析の分析でBMIまたはアルコール摂取と精子の品質の間にJ字型の関連性が見られました。

 

結論:この研究から精子の質に負の影響を示すのは「年齢と肥満」が最も重要な要因であることが示されました。ライフスタイルのリスクへの曝露を減らすことで精子の質を改善するための有望な方法と言えます。

結論

これら(年齢、BMI、アルコール)の要因が精子の質に悪い影響を与えることが示されました。

特に、年齢と肥満が最も重要な因子であり、精子の形態や精子核の成熟度などのパラメータに影響を与えました。BMIとアルコール摂取量と精子の品質の間には特定の関連性が見られました。

 

この論文から言えること

ライフスタイル要因(特に年齢、体重、アルコール摂取)が精子の質に対して相補的に影響を与え、精子の質を改善するためにはこれらの要因に対するリスクを軽減させることが大切と言えます。

 

Journal of Assisted Reproduction and Genetics (2021) 38:2985–2994

Do aging, drinking, and having unhealthy weight have a synergistic impact on semen quality?