胚を観察するとわかること | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

エンブリオスコープで胚の分割を見ていると胚ごとに色々な分割をすることが見て取れます。

 

最初の関門は受精です。受精のサインである雌雄前核が卵子の中にできてまず安心します。ここでどちらかの前核が見えないとか、前核が大きすぎるとか小さすぎるのは良くなく、また大きさが異なることも良くないサインです。

そのあと二つの前核がしっかりとした大きさになり、かつこの二つの前核が卵子の中央で近づきしばらく寄り添いそのあと消えて核が一つになります。ここまでが第二の関門です。

 

そして見ていて一番ドキドキする瞬間は最初の卵割である第一卵割です。ここがしっかりと落ち着いて均等に2分割することが非常に大切なチェックポイントです。ここで不均一に分割したり、2個では無く、3個や4個に分割したりすることは良くないサインです。しかもすっと二つに分割することが好ましいく、ひねったり、揺れたりなど不安定に分かれることは良くないサインです。

 

そして次にそのあと第二卵割、第三卵割と次々と進んでいき桑実胚になり胚盤胞になります。この辺りは見ていて圧巻です。

そしてこれらがしっかりとオンタイムで起きてくることが大切です。

 

これだけではなく胚には驚くべきことに自己修復能力があり、途中に起きるこれらのエラーを胚自身の力で修復することができます。この修復している様子も見て取れます。弱い細胞を押しのけ残りの元気な細胞同士が協力して育ち生まれようとする、まさに生命力の凄さを実感し感動します。

 

そして何よりエンブリオスコープの導入により診察室でご自身の全ての胚の様子を見せて説明できることが大きなメリットだと思います。

 

こちらの動画がかなりおすすめです。