今月号のHuman reprodaction updateに掲載されているかなり長い論文ですがとても大切な内容なので共有します。染色体が正常な胚盤胞を移植しても6割前後しか着床しないのはどうしてなのか、かなり膨大な論文をメタ解析しておりおそらく過去に出された論文の中でも最も秀悦な論文だと思います。
以下の図がわかりやすいのですが、移植をブラックボックスとしています。
出産率の確率は45−66%としています。
どうして低下してしまうのかその理由は
胚由来、母親由来、父親由来、病院の由来、ラボの由来が考えられ
ICM gradeCの場合オッズ比は0.37
TE grade Cの場合オッズ比は0.53
胚盤胞のグレードBB未満の場合オッズ比は0.40
女性の年齢が38歳以上オッズ比0.87
反復着床不全だとオッズ比0.72
BMI>30だとオッズ比0.66
2回融解するとオッズ比0.41
以下に詳細の結果を載せます。
この論文から言える事として
正常胚を移植するときはどうしても過度に期待することかと思いますが、今回の大規模な結果を踏まえ、胚盤胞のグレードが悪い場合、38歳以上の場合、BMIが30を超えている場合、反復不成功の場合においては、正常胚を移植するとしてもその確率が下がることを予め認識しておくことが良いといえます。
Human Reproduction Update, 2023, 29(5), 570–633
Opening the black box: why do euploid blastocysts fail to implant? A systematic review and meta-analysis