移植時に黄体ホルモンの値が低いと出産率が低下することは過去の論文でも度々紹介しました。この内容はここ1年くらいでかなり定着していることです。今月号の内容はそれとは逆で移植時の黄体ホルモン値が高い場合成績は下がるのではということを調べています。今までとは全く逆の内容です。
以下の表が結果となりますが黄体ホルモンの値が高くても(60ng/mlとかなり高いケースでも)出産率は(20ng/mlの群と比較して)変わりがない事がわかります。
この下のグラフも同様ですが横軸がプロゲステロン濃度、縦軸が出産率です。
右は経膣投与、左は経膣&注射ですがどちらにおいても黄体ホルモンの値が高くても出産率が下がらない事がわかります。
この下の表は黄体ホルモンが高い場合様々な因子を補正したとしても変わりはないとしています。
この結果から言えること
移植時に黄体ホルモンを計測して低い場合には注射をしたり膣材を増やすことで成績を保つことが可能ということは今まで紹介してきましたが、もし黄体ホルモン値が50とか70とか異様に高い場合でも成績は変わらないことになりますので心配する必要はないと言えます。
Fertility and Sterility® Vol. 120, No. 3, PT. 2, September 2023
Elevated serum progesterone levels before frozen embryo transfer do not negatively impact reproductive outcomes: a large retrospective cohort study