ガンの既往があると不妊治療の成績が有意に低下する | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

過去にガンにかかった方が不妊治療をするとガンになった事がない方と比較すると成績は低下するかどうかを調べているメタ解析の論文がありましたので紹介します。

以下結果です

移植できる胚の数は有意に低下 (OR: 0.22; 95% CI: 0.07, 0.74; 95% PI: 0.00, 64.98)

臨床妊娠率も有意に低下(OR: 0.51; 95% CI: 0.35, 0.73; 95% PI: 0.19, 1.35)

出産率も有意に低下(OR: 0.56; 95% CI: 0.38, 0.83; 95% PI: 0.19, 1.69).

 

結論

がんの既往がある場合、胚移植後に妊娠、出産に至る可能性が低くなる可能性があります。

 

この結果から言えること

どうしてこの様な結果が出るのかまだ不明な点が多いとしています。ただこの情報をがんの診断時から将来不妊治療を検討している方へ知らせる事が必要と述べられています。またがんの既往がある患者に対してよりがんに対して安全かつ効果的な卵巣刺激および胚移植方法を改良する事が求められます。そしてがんの治療そのものが卵巣への影響を減らせるような治療を行うことも同時に必要です。

Human Reproduction, Vol.38, No.1, pp. 30–45, 2023

Outcomes after assisted reproductive technology in women with cancer: a systematic review and meta-analysis