ERAは有効か? 今月号のHRから メタ解析 | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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ERA検査は有効かどうかを検証しているメタ解析の論文が今月号のHRに出ていましたので以下紹介します。多数の論文を解析したメタ解析の論文なのでかなりの根拠がある内容といえます。

過去の35 件の論文を解析していいます。

85% が ERA を使用し、15% が他の検査を使用しています。

2件の研究は、反復不成功(以下RIFと略)のない女性を対象に、ERAに基づいて選択的な移植と通常の移植を比較したRCTでした。

 

 RIFのない女性では、出生率と臨床妊娠率に有意差は見られませんでした。

リスク比0.98 95% CI (0.88–1.10)

 また、交絡因子で補正した 4つのコホート研究のメタ解析も実施しました。RCTの結果と同様にRIFではない場合では有意差は見つかりませんでした。しかし、RIF のケースでは個別化した移植が臨床的な妊娠率を改善する可能性があることを示唆しています (オッズ比 2.50、95% CI 1.42 ~ 4.40)。

しかしRIFのないケースを対象としたRCTは2件のみしか発表されておらず(そのうちの一つはERAの会社の論文)、RIFの女性を対象としたRCTは1件も発表されていません。 

 

結論として

着床の窓の検査をRCTで調べているのは2件だけしかなく、そのうちの一つはERA検査会社のものであり着床の窓を調べて移植を個別化する治療法を有効だとする根拠は低いとなる。今後質の高く、かつ第三者の大規模なRCTが必要であり、それまではERA検査は根拠がないため見送ることが妥当だといえます。

Human Reproduction, 2023, 38(7), 1305–1317

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