移植して妊娠しないため先生のセミナーを見て腹腔鏡手術に興味を持ちました。疑問として腹腔鏡手術で治すのは卵管や腹腔内だと思いますが、移植するのは子宮だと思います。
どうして移植する場所と違う箇所を腹腔鏡手術で治すと妊娠するのでしょうか?
この様なご質問がありましたのでお答えします。
これは多くの方に聞かれる質問です。外来や説明会でも度々聞かれます。また産婦人科の医師や生殖医療専門医でも答えられないと思います。
正直私にもわからない部分もあり前回も記事にしましたが生殖医療にはまだまだ分からない事が非常に多く、正直全体の1%程度しか理解されていないと思いわれます。特に着床に関しては目に見えない部分が大多数のためほとんど解明されていません。
私は腹腔鏡手術に15年以上携わっていて実際に妊娠しない方の腹腔内や卵管内をカメラで見ていますが、そこにはやはり妊娠できない理由が多く見つかります。
例えば癒着や炎症や内膜症です。ただ何もないにも関わらず今まで妊娠せずオペ後最初の移植で妊娠に至るケースも数多くあります。
一つ一つ丁寧に癒着を剥離し炎症を除き内膜症を焼灼し腹腔内を大量の生理食塩水で洗浄する、これらの行為ひとつひとつが積み重なり受精卵の着床にプラスに働くと予測しています。
わかりやすく例えると子宮が子供部屋(寝室)、卵管が廊下、腹腔内がリビングだとします。
赤ちゃんが産まれて最初にうちに連れて帰る時多くの方が子供部屋をきれいに掃除してピカピカのベッドを用意すると思います。その方が病気にならないからです。
ただ廊下やリビングにゴミや散らかした食事などが長期間放置されていたら(例えが悪くて申し訳ありません)当然寝室は廊下とリビングとで繋がっているため赤ちゃんを寝かしている寝室にもそれらが影響して赤ちゃんは病気になると想像されると思います。
それを防ぐため多くの方は寝室だけでなく廊下やリビングも掃除して子供を家に連れて帰ると思います。
腹腔鏡手術はそれと同じことをします。
子宮だけではなく卵管、腹腔内の全てをきれいにしてから移植をします。
子宮と卵管と腹腔内は繋がっています。決して別々の離れた器官ではありません。
高齢で減点が許されない弱い胚にとってどの様にして胚を迎えたら着床し無事に生まれるか、そのためにできる事をする、これが腹腔鏡手術の目的です。
過去の説明会の動画がわかりやすいと思います。