ホルモン補充周期で移植すると児の体重が増加 今月号の論文 | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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凍結胚移植においてホルモン補充周期で移植する方法が広がっています。自然周期よりも調整つしやすく内膜が厚くなりやすいという理由があるからです。しかし近年ホルモン補充周期だと黄体ができないため様々な周産期のトラブルが増えるという報告が増加しています。特にここ1年半以内に多数の論文で自然周期で移植する方が好ましいと結論づけられています。

当院でもこれらの論文が出てから凍結胚移植の方法を自然周期をメインに切り替えています。

今回の出された論文ではホルモン補充周期と自然周期を大規模に比較したメタ解析が出ていましたので紹介します。

以下結果です。

ホルモン補充周期だと自然周期と比較すると児の体重が増えました。(mean difference 47.38 g).

ホルモン補充周期は4000g以上の巨大児が生まれる可能性が有意に高くなりました。 (OR 1.15, 95% CI 1.06–1.26) また週数よりも大きな児が生まれる可能性が高まりました。 (OR 1.10, 95% CI 1.02–1.19) 

 

分割胚移植において検討すると週数よりも大きな児が生まれる可能性は有意に高まりました。 (OR 1.27, 95% CI 1.00–1.62)

また巨大児が生まれる確率は有意に高くなりました。(OR 1.25, 95% CI 1.08–1.44)

 

ホルモン補充周期における胚盤胞移植だと巨大児が生まれるリスクは差は出ませんでしたが週数より大きな児が生まれる可能性は高くなりました。(OR 1.13, 95% CI 1.06–1.21)

 

論文の中でやはり黄体の重要性が述べられていて、黄体はホルモン補充周期では作られないため可能な限り排卵を起こし黄体を作成し、もしホルモン値が不安なら排卵後に補充をすることでその不安は解決されます。

Human Reproduction Update, Vol.28, No.1, pp. 1–14, 2022

Effects of different frozen embryo transfer regimens on abnormalities of fetal weight: a systematic review and meta-analysis