移植周期に性交渉(またはAIH)をすることが鍵となる | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

 

精漿は体外受精の成績を高くするという論文です。

精漿とは精液の精子以外の液体部分で主に前立腺液や精嚢分泌液からなり、精液の大部分を占めます。

精漿は精子を運ぶ担体としてだけではなく、女性の生殖生理に大切な影響を与えています。免疫反応にも影響し、受精、妊娠へ影響を与えています。

精漿は性交渉後に経管において免疫的に重要な役割を果たし、そのため移植周期にも性交渉をすることで妊娠の確率が高くなるという報告があります。

このメタ解析では性交渉やシリンジ法や人工授精などを移植周期に行うと以下のように妊娠率が有意に高くなると報告しています。

 (RR 1.23, 95% CI 1.06 – 1.42, P  0.006)

 

このような知見は非常に参考になります。

もし自然排卵でも妊娠すると多胎になるリスクはあるものの、年齢やここまでの成績を踏まえ多胎の可能性を理解していればトライする価値は十分あると思います。

そして精神的にも好ましいと思いますし旦那様のメンタル的にも良いことだと思います。

いまだに妊娠はわからないことばかりです。自然が作り出した精漿という媒体を活用しできることは何でもして妊娠する可能性を最大限高くすることが高齢で成功する鍵だと思います。

 

Human Reproduction Update, Vol.21, No.2 pp. 275–284, 2015

The role of seminal plasma for improved outcomes during in vitro fertilization treatment: review of the literature and meta-analysis