未熟卵子は妊娠するのか? | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

未熟な卵子は破棄するのでしょうか?それとも培養して使用しますか?

またその場合どの程度培養するのでしょうか?

翌日まで培養した場合は妊娠率はどうなるのでしょうか?

 

このようなご質問がありましたのでお答えします。

 

採卵して成熟な卵子が取れる確率は刺激方法や年齢にもよりますが、だいたい8割程度となります。残りの2割は未熟卵となります。

 

未熟卵のままでは受精させることは不可能のため、数時間培養して成熟するまで待ちます。

 

大体午後5時〜午後7時位までは待ち、そこで成熟していれば受精させることが可能になります。この段階で受精させられればそれほど妊娠率には影響してきません。

 

ただ翌日まで待ち、翌日に成熟したことを確認して、それから受精をさせるとこの場合には受精することはありますが、卵子のエイジングの為妊娠率になると非常に低い結果になります。

 

なお体外受精をして、翌日受精していない場合に、そこで顕微授精を行う方法をOne day old ICSIと呼びますが、その場合の妊娠率も非常に低くなります。

 

治療法の王道はどれだけ多くの成熟卵を採卵するかであり、決して未熟卵を多く採卵することではありません。PCOSなど特別な理由がない限り未熟卵狙いの治療法は避けるべきです。

反論として未熟卵子からも生まれている、この様にいう先生もいるかと思います。ただそれはものすごい数の未熟卵の中でごく少数のケースでありそれが大多数に言えることは決してありません。未熟をあえて目指すことはエビデンスがなくその様な治療はするべきではありません。

 

宜しければ過去の記事も参考にしてください。

 

成熟卵か未熟卵か