B型の工賃が月3千円未満だと重点監査。留意事項通知の改正3点を確認
おはようございます。本部SVのkazutakeです。結論から書きます。就労継続支援B型で平均工賃が月3,000円を下回ると、国の通知は指定権者に対して「重点的に指導監査を実施すること」と求めています。そしてこの通知は令和7年3月31日に改正され、B型の運営に関わる宿題が3つ増えました。大阪府が令和8年度の集団指導資料として、この通知をそのまま掲載しています。集団指導の資料は「事業所は読んでいる前提」で運営指導が行われる資料です。ここが今日の出発点です。そもそも、どの通知の話でしょうか正式名称は「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について」。もとは平成19年の課長通知で、直近の改正が令和7年3月31日(障障発0331第2号)です。指定基準や報酬の告示ほど話題になりませんが、運営指導では確実に見られます。理由は単純で、指定権者はこの通知に沿って指導するよう国から言われているからです。大阪府はこれを令和8年度の集団指導資料に入れています。Web形式で動画と資料を確認し、アンケートを提出する方式です。府のページには「回答がない場合は、運営指導の対象となります」と書かれています。読んだかどうかが記録に残る、ということです。ちなみに大阪府所管の事業所のアンケート提出期限は、令和8年8月31日とされていました。すでに過ぎています。まだ出していない心当たりがあるなら、資料を読むより先に府の担当へ相談してください。期限を過ぎた届出は、放置するほど話がややこしくなります。改正で変わったのは、この3点です 変わった点 通知に書かれたこと 対象 ①新規利用のアセスメント 令和7年10月からは就労選択支援事業者によるアセスメントで就労面の課題等を把握したうえでB型を利用する。ただし近隣に就労選択支援事業所がない場合や、待機期間が生じる場合は、就労移行支援事業所等による就労アセスメントを経たB型の利用を認める B型 ②利用中の方への定期的な情報提供 利用する中で本人の就労に関する意向や知識、能力等に変化が見られる場合があることから、計画相談支援を行う者等と連携し、定期的に就労選択支援に関する情報提供を行うこと 就労移行・A型・B型 ③アセスメントの実施場所 事業所でのアセスメントが障害者の負担とならないよう、対象者が通所しやすい場所(在籍する特別支援学校内など)で実施することが可能 B型 ③は地味ですが、改正前は「施設外支援を利用することにより」という条件付きの書き方でした。そこが外れています。読み飛ばしやすい差分です。工賃が月3,000円を下回ると、どうなるか通知はこう書いています。指定基準第201条第2項で、利用者それぞれに支払われる一月あたりの工賃の平均額は3,000円を下回ってはならないとされている。この基準を満たしていない事業所に対しては、重点的に指導監査を実施すること。そのうえで、指導後も改善の見込みがない場合には、地域活動支援センターへの移行や、法に基づいた勧告、命令等の措置を講ずること、とあります。ここは経営の話でもあります。工賃は生産活動の収入から、生産活動に必要な経費を差し引いた額から支払うものです。給付費から出すものではありません。つまり3,000円を割るということは、生産活動そのものが赤字か、それに近い状態だという意味になります。3,000円は目標ではなく下限です。下限に張り付いている状態は、指導の対象になるという以前に、事業として持たないと考えたほうがいいと思っています。本部として複数の事業所を見ていて思うのは、工賃が3,000円前後で止まっている事業所ほど、請負作業の単価を何年も見直していない、ということです。作業量を増やして工賃を上げようとすると、支援の時間が削られて本末転倒になります。単価の交渉を1件やるほうが、たいてい早いです。国が名指しした「よくない例」が2つあります通知は、アセスメントの趣旨が理解されていない取扱いとして、具体例を2つ挙げています。ひとつは、本人の希望や一般就労への移行の可能性を考慮せず、B型の利用を前提とした形式的なアセスメントを実施している事例。もうひとつは、アセスメントを実施したにもかかわらず、結果が利用する事業所に引き継がれていない事例です。受け入れる側のB型から見ると、2つ目は他人事ではありません。引き継ぎがないまま受け入れれば、記録上は「アセスメントの結果を踏まえた支援」が成立していないことになります。個別支援計画の根拠が薄くなる、という言い方のほうが現場には伝わるでしょうか。で、うちはどうすべきか現場の話からいきます。新規利用の受け入れのときに、誰が、いつ、どんなアセスメントをしたのかを、受け入れる側の記録に残しておくこと。引き継ぎ資料が届いていないなら、届いていないという事実を含めて残すこと。これだけで運営指導の説明が変わります。経営の話でいうと、平均工賃を年度末にまとめて計算している事業所は、月次に切り替えたほうがいいです。年度が終わってから3,000円割れに気づいても、打てる手がありません。生産活動の収入と経費は、毎月見える形にしておく。そして②の「定期的な情報提供」は、やっているかどうかではなく、記録に残っているかどうかで判断されます。モニタリングの様式に1行足すだけで済む話です。明日から使えるアクション3つ1つ目。直近12か月の平均工賃月額を出してください。3,000円との距離が、いまの立ち位置です。2つ目。今年度の新規利用者について、アセスメントの実施主体・実施日・結果の引き継ぎ資料の有無を、1件ずつ確認してください。3つ目。利用中の方への就労選択支援の情報提供を、いつ・どこに記録するかを決めてください。モニタリング記録の欄をひとつ作れば足ります。よくある質問Q1. B型の新規利用に、就労選択支援は必須になったのですか。通知は令和7年10月からは就労選択支援事業者によるアセスメントを経てB型を利用するとしたうえで、近隣に就労選択支援事業所がない場合や、利用可能な事業所数が少なく待機期間が生じる場合は、就労移行支援事業所等による就労アセスメントを経たB型の利用を認めるとしています。実際の取扱いは支給決定を行う市町村の判断になりますので、個別の案件は所轄にご確認ください。Q2. A型でも就労選択支援は必須ですか。同じ通知に、当面の間は就労継続支援A型の利用に当たって就労選択支援を利用することは必須ではない、と明記されています。あわせて、公共職業安定所が就労選択支援を利用せずにA型の求人を紹介する場合があることにも触れられています。おわりに集団指導の資料は、指定権者が「今年はここを見ます」と先に教えてくれている資料です。読むのに時間はかかりますが、当てられてから読むより、はるかに安く済みます。みなさんの事業所では、平均工賃は月次で見えていますか。よかったら教えてください。次回は、経営数字まわりからもう1本お届けする予定です。なお、本記事は令和7年3月31日改正の課長通知と、大阪府が公開している令和8年度集団指導資料に基づいています。最終的な算定判断・運営上の取扱いは、最新の告示・通知と所轄の指定権者にご確認ください。本部SVのkazutakeでした。障害福祉の開設・運営の相談は、こちらでも書いています。元経営者のnote【参考】就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について(障障発0331第2号・令和7年3月31日/大阪府掲載)(2026年9月17日確認)【参考】令和8年度指定障がい福祉サービス事業者等集団指導の開催について(大阪府)(2026年9月17日確認)【参考】就労選択支援事例集(厚生労働省)(2026年9月17日確認)【関連記事】【保存版】実地指導は運営指導に。B型で見られる確認項目22点【関連記事】【実地指導クイズ】運営指導マニュアルが刷新。提出書類は何部?全5問