(若き中村天風インドの修行NO3)
インドでの修行の日課は、朝は冷たい雪解け水の川に臍まで浸かり瞑想
それが終わると、ヨギ達は各々山へ入り瞑想場所へ向かう。
カリアッパ師と三郎青年は
師は驢馬の背に三郎は爪先のみのワラジを履き必死に断崖絶壁を見下す道を師の後について行く
三郎の瞑想場所は轟音鳴り響く
滝横の大きな岩の上
毎朝師は三郎に声をかける
『今日はどうだね?』
すると三郎は...
「熱はないですが、気が重うございまして」
「今日は頭が重くて...」
「食欲がちょっと...」
そんな毎朝の三郎の答えに師は
『お前は誰に頼まれて、自分の毎日をそんなにうす暗く生きているんだ。』
『よく考えて見ろ、お前は本当にありがたいということを感じていない。』
『お前恨んでいるのかい?』
「恨みやしませんが、ありがたいというのが私にはわかりません...」
『あるよ。』
「何です?」
『生きていることだ』
えっ⁉
『お前は死なずに生きているだろうが、熱があろうと血を吐こうと、生きていることになぜ感激しないんだ。』
『死なずに生きている。この命に対して、なせ有難いとは思わない。』
えっ...
『考えてみろこの村で修行出来るのはヨギの家族で選ばれた者、こうしてワシが直接指導する事などあり得ない!』
『お前は世界一の幸福者だ!』
翌日から三郎は言葉を変え
生きている喜びを感じ
体調を気にしなくなって行くのでした。