近年、県内での東大・京大の現役合格者数は土浦一高が水戸一高を上回っている。竹園高校では4〜6人出る年もあるが、0人の年もある。私立高校ではどうかというと、なかなか合格者が出ていない。並木中等教育学校では2020年は現役生9名が合格している。他県に目を向けると例えば神奈川県の栄光学園中学高等学校の現役での合格者数が目をひく。東大・京大の現役合格者が50〜60名出ている。そんな中、2022年までに茨城県内では中高一貫校の数が13校にまで増えようとしている。全国的に見ても異様な数である。県西地区などで最難関大学を目指す学力に見合った高校が無いことを考えると早期からエリートを絞り込む学校新設を考えるのは分かるのだが、40人の学級で人間関係に亀裂が入ってしまった場合に、子どもに物凄いストレスがかかってしまうのではないかと心配する。しかも新設される中高一貫校の進学実績が分かるのが6年後なので、5年分くらいを比較して見られるのは11年後となり、学校内の運営が上手くいっているかいないかのジャッジは当面下せない。私立の中高一貫校には「色」を感じるのだが、既存の公立高校を一貫校化しただけの学校に新しい「色」をつけていくには結構な時間が必要だろう。茨城県は形を変える政策を先に打ち出したが、それより前に現場に入る教員、職員の育成にこそこの20年あるいは30年の時間に力を注いでおくべきだったのではないだろうか。そこに立つ先生が「どんな人なのか」、「どんな人柄なのか」、「どんな考え方を持っている人なのか」で生徒の内面は激変し、革命が起こることさえ往々にしてあるからだ。後回しにしてしまいがちな理科社会のアドバンテージを10代前半で作れていた子と作れていなかった子との差が、高校3年時での跳ね上がり方に大きく影響しているように思う。数学だけを教えている先生、物理だけを教えている先生の中にこのような肌感覚をもっている人は極めて少ない。学校の表面だけにとらわれないようにしたい。学校に入学してから、あるいは入学する前に、いい意味での衝撃があると学校生活は上手くいく。