成膜の工程では、電子回路を作る基板となる薄膜の層を形成する。成膜には、熱酸化法・ CVD・スパッタリングの3種類の方法があり、形成する膜の種類によって使い分ける。
薄膜とは、1000オングストローム以下の膜のことで、金属や誘電体でできている。
この薄膜を加工して、半導体の電流を抑える抵抗や電気を蓄え放出する役割を持つコンデンサーが作られる。
1.熱酸化法:シリコンを酸化させることで膜を作る方法。熱処理装置の中にウェーハを入れて酸素ガスを流入し、酸素や水蒸気を高温でシリコンと反応させることで、ウェーハの表面にシリコン酸化膜を成長させる。
2.CVD:化学的気相成長法の略、化学反応によってウェーハの表面に膜を堆積する方法。化学反応を発生させるために、反応室に、薄膜の材料となる成分を含む原料ガスを供給する。例えば窒素ガスを使うことで、ウェーハの表面にシリコン窒化膜を発生・堆積させることができる。
3.スパッタリング:蒸着法あるいは PVD とも呼ばれる方法。ウェーハと薄膜の材料物質(ターゲット)と真空状態に置き、他の物質と反応しないという特徴を持つアルゴンや電子などを高速でターゲットに当てる。その衝突により弾き出された分子や、その分子と化学反応させた材料がウェーハの表面に堆積し、薄膜が形成されるという仕組み。
 
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