福岡支社は大阪はもとより、名古屋に比べても1ランクも2ランクも下である。部下も少なく、本社との交流も殆どない。人脈もパイプも薄いし都落ちという言葉がぴったりする。
左遷がつらいのは、他人の視線の冷たさや傷ついた自負心だけではない。こういう現実に耐えて居かねばならないという事実そのものだ。
…私の場合、左遷の後はメールの件数が極端に落ちていったし、電話の件数もそうだ。都落ちではないが、閑職に落ちていったという表現となるだろう。この状況に必死に耐えていくしかない。仕事の量を考えると、1/10程度になってしまった。このような中でも自分がやすべきことを必死にやるしかない。当面は、本を読むことを英会話に注力するしかないのだろう。

冬の火花 ある管理職の左遷録 江坂彰著 文芸春秋社[1983]