中国に存在するユニークなグループ。昔、中原である華北で大乱が起こり人々が南下した。彼らは、広東・湖南・江南・福建などに住んだ。先住者から見れば、彼らは客として住んでいるために、客家と呼ばれるようになった。
中国人は出身地で自分の身分(アイデンティティ)を表す。客家は何百年も客家です、という。客家はどの省にいても共通の客家語を使う。客家語には、古格な華北の言葉が入っているそうだ。
客家は、家族を尊重し、先祖崇拝が強く、家々には家祠がある。ユダヤ教に似ている。
客家は、他のグループと強調するよりも、争うことが多く、一般に自己主張が強い。
客家は、中国の時世時節の政策に対して、どこか冷めていて、客観的に見る通癖を持っている。
そのせいもあって、時に革命家を出す。孫文は客家だし、太平天国の乱の洪秀全も客家、鄧小平もそう。
アメリカに渡っている華僑にも、圧倒的に客家が多いそうだ。
…アメリカの内部の話から、中国や日本との結びつきや関連性を引き出してくるのはなかなか面白い。客家は、東南アジアにも広く進出している。海外で活躍しようと思うと、このような感じの人たちではないとダメなのだろう。

街道をゆく39 ニューヨーク散歩 司馬遼太郎著 朝日新聞社[2009]